改めて、幸せなセミリタイアを目指す人が考えておきたいこと
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こんにちは、日比タクです。
投資をしていると様々な投資目的を持つ方がいます。
日比タクはキャピタルゲインというよりも、インカムゲインを目的とした投資を行っており、配当や分配金によるキャッシュフローの獲得を目指しています。
その中で良く聞く話は、
「投資で不労所得を作って、セミリタイアを目指している」
というお話。
セミリタイアを目指す人は、サラリーマンを辞めて労働そのものや人間関係のストレスなどから解放されたいという想いをもっていることが多い印象です。
また、時間に拘束されずに「より自分の時間を大切にしながら、自由に生きていきたい」という文脈の中で資産形成の目的として語られます。
Financial Independence, Retire Earlyという言葉の略語で、経済的自立と早期リタイアを意味で使われるFIREも同じような意味で使われます。
今回は投資をされている方なら多くの人が目指す、幸せなセミリタイアについて、改めて考えてみたいと思います。
①いくらあれば幸せなセミリタイアが可能なのか?
最低限の生活費の確保ライン
セミリタイアにはお金がかかります。仕事を辞めても生活は続くからです。
一般的には働かなくても生きていけるだけの生活費を投資などからの不労所得でカバー出来れば、セミリタイア可能とされています。
株式による配当収入、不動産による家賃収入などキャッシュフローを生む資産はいくつかありますが、今回は配当や分配金などの金融資産からのキャッシュフローをベースに考えましょう。
もしあなたが必要な生活費が月25万程度なのであれば、生活費をカバーするには年間300万の手取り配当収入が必要となります。
手取りということは税金を引かれた後の配当収入ということになりますが、年間300万円の手取り配当を得るにはいくらの運用資産が必要でしょうか?
配当利回り3%(税後2.4%)の場合=1.25億円
配当利回り4%(税後3.2%)の場合=0.94億円
配当利回り5%(税後4.0%)の場合=0.75億円
という形になります。
年間300万円の配当所得を得て、最低限の生活費をカバーできるようになるためには、まずそれなりの運用資産が必要となります。
自分の余暇や趣味にもお金を使う
さて一方で、不労所得で生活費を賄える状態を作ってセミリタイアをしても、それは"幸せなセミリタイア”と呼べるのでしょうか?
現実として、サラリーマンを辞めると平日に時間が出来ます。もちろん時間が出来ると沢山のことをやりたくなると思います。
今までは仕事があったので旅行に行く時間もなかなか取れず、趣味に没頭する時間もなかなか取れなかったと思うので、やりたいことが沢山出てくるでしょう。
しかし、ご存知の通り、何をやるにしてもお金がかかります。
よく「不労所得が生活費を上回る=経済的自由」という表現をされますが、日比タクはそうは思いません。
なぜなら、それだけでは仕事をしなくても最低限生きることが出来るようになるだけで、決して自由にお金は使えないからです。
自分がやりたいことや趣味などに使える分のキャッシュフローも考慮しておかないといけないとすると、必要な運用資産額は結構上がります。
それで足りるかどうかは別として、仮に月10万、年120万円くらいはリタイア生活を楽しむためのお金として上乗せすると、必要額はトータル420万円。
配当利回り3%(税後2.4%)の場合=1.75億円
配当利回り4%(税後3.2%)の場合=1.31億円
配当利回り5%(税後4.0%)の場合=1.05億円
が幸せなセミリタイアに必要な資金になります。
インカム投資をされている方は分かると思いますが、配当利回り5%のポートフォリオは結構高い利回りを追求しているので、減配などのリスクを抱える銘柄を一定含むことになります。
それでもセミリタイアにら運用資産額で1憶以上は必要なので、幸せなセミリタイアを実現するには、かなりハードルは高いと言えます。
②何でセミリタイア後の収入を得るのか?
さて、前述の通りセミリタイアにはかなり巨額の運用資産と、そこからのインカムキャッシュフローが必要なことが分かりました。
加えていうならば、生活費と余暇費だけ確保できていても将来は何が起こるか分かりませんので、不安を完全に拭い去るのは簡単ではありません。
セミリタイアと定義するにあたっては、もちろん完全にリタイアをする訳ではないと思いますので、会社員としての仕事を辞めた後でも、週何回かはアルバイトをして過ごす、独立したフリーランスとして多少の収入は得るなど、何らかの形で収入を得ることを想定していると思います。
例えば会社員時代の経験を活かして、
・専門分野におけるコンサルティングを行う
・IT技術者であれば業務委託でシステム設計・開発を受託する
・ブログを書いてある方であればメディアを運営で収益を出す
などいくつか選択肢があるでしょう。
しかし、知っておきたいのは、会社に所属せずに本当に自分の力だけで収入が得られるなんて少数の人達だけです。
まずはセミリタイア後に想定しているこれらの収入獲得手段としての青写真が、
「本当に選択肢として現実的なものなのかどうか」
について、事前に考えておいた方が良いでしょう。
セミリタイア後の収入を期待するのであれば、会社員時代にキャリアとスキルを磨いておき、個人で独立した形で収入を得られるようにしておく必要があります。
一方で、もしセミリタイア後の収入には頼らないのであれば、現役時代に十分すぎる資産を築いておく必要があります。
1つリスクを提示します。
基本的にセミリタイアをして会社員を辞める=ブランク期間になります。ご存知の通り、ブランクが長引くと転職には極めて不利になります。
セミリタイアをした後で、必要な収入の確保が想定している通りに上手くいかなくても、ブランクによって簡単に会社員に戻ることが出来なくなる可能性があることは認識しておいた方が良いですね。
※実際はそれ以外にも、いざという時のライフイベントの準備費が必要だったりしますので、より詳しくセミリタイアの必要資金を学びたい場合は、以下の過去記事もご参照ください。
③セミリタイアで何を実現したいのか?
さて、現実的に"幸せなセミリタイア"を目指すための、物理的な準備、つまり十分な資金手当てが出来たとしましょう。
その上で、さらに考えておかないといけないのは精神面の準備です。
会社員として仕事をしていた時には、多かれ少なかれ仕事には目標があり、他人から評価される環境があります。努力によって結果は左右され、仕事を通して成長し、それが報酬となって返ってくる経済構造の中で生きているからです。
職場という人間関係の中で生きるのは時としてストレスの原因にもなりますが、自分自身の存在を認められる機会にもなる訳です。
しかし、セミリタイア後は良い意味でも悪い意味でも刺激になっていた職場での人間関係が無くなります。
セミリタイアに入った時、
・他人から認められる機会を失う
・自分の存在価値を感じる機会を失う
ことによって、悩みを抱えてしまう可能性も考えられます。
人間は基本的に外部刺激がないと生きることが出来ない生き物です。穏やかに過ごせる時間を求めてセミリタイアをしても、家にいて暇で刺激がない状態が続くと、人は刺激を求めるようになっていきます。
幸せなセミリタイアを目指していたのに、蓋を開けたら
「毎日が暇で仕方ない」
「刺激がなくつまらない」
なんていう人生が待っていた、となってしまうと悲惨です。
そうならないように、
「セミリタイアをして自分はいったい何がしたいのか?」
をしっかりと考えておくが大切です。
家族のことでも、趣味のことでも、仕事以外での自己実現でもいいでしょう。自分で明確に時間を使ってやりたいことがあるということが、自分自身で健全な刺激を作り出し、幸せなセミリタイアを実現することになります。
まとめ
セミリタイアやFIREという言葉がネット上で踊り、それを目指して資産形成を目指される方が増えてきている印象です。
資産形成に取り組む方が増えているという観点ではポジティブなのかも知れません。しかし、今のところただセミリタイアを目指しているだけ、という方も多いのではと思います。
日比タクはセミリタイアを目指す方は応援しています。1つの自己実現のための手段だと思うからです。
ただ、残念ながら③のセミリタイアで何を実現したいのか?が自分の中にはありません。そのため、配当金がいくらあったとしても、それが見つからない限り日比タクはセミリタイアは目指さないと思います。
セミリタイアは仕事をリタイアするという出口でもありますが、
"自分が楽しむ人生への入り口"
でもあります。
まずはセミリタイアが資産形成の目的になっていないかを自分自身に確認することを推奨します。また、自分自身で幸せに人生を楽しむことを目指すのだからこそ、セミリタイアを実現してから実現したいことのビジョンを持てるよう、しっかり事前に考えておきたいですね。
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