日比谷タクミ 令和を生きるサラリーマンの資産形成

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【プロスペクト理論から考える】生命保険・医療保険が不要な3つの理由

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こんにちは、日比谷タクミです。

日本人は保険に対してたくさんのお金をかけている国民と言われます。

平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、
・世帯の普通死亡保険金額 2,255万円
・世帯主の年間払込保険料 38.2万円

という結果になっており、実際に日本人はかなりの金額を保険料の支払いに充てていることが分かります。

 

実施にこの記事をご覧の方の中にも保険に加入されている方も多いと思いますが、今回はマネーリテラシーの観点から、保険の問題にデジタルに切り入んでみたいと思います。

 

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この記事はこんな方におススメ

・同期や友人が保険に加入したが、自分も加入した方がいいか迷ってる
・既に保険に加入しているが、見直しを検討している
・保険に入るべきかどうか、色んな議論があるがどれを信じればいいのか分からない
・死亡保険、医療保険、特約など複雑で、どんな種類の保険がどれくらい必要なのか分からない

 

 

結論

保険に対する価値観は人それぞれなので、もしご気分を悪くされる方がいれば申し訳ないですが、

日比谷タクミは保険は否定派です。

今までも一度も加入したこともないですし、多分一生加入しません。

 

友人に国内大手生保の営業部門で働いている人がいますが、保険の話になると全く話は噛み合いません。

保険会社の営業は、一般的に大切な人や家族を守るために、万が一に備えた保険が必要、という説明をします。

しかし、大切な人や家族を守るために本当に必要なものは、

「保険」ではなく「自己資産」

というのが、合理的な結論と言えます。

 

プロスぺクト理論を理解する

人間は損失を回避したい気持ちが強い

まず、保険という商品に対する需要を理解するために、プロスペクト理論について理解をしておくと良いでしょう。

プロスペクト理論プロスペクトりろん、英: Prospecttheory)は、不確実性下における意思決定モデルの一つ。 選択の結果得られる利益もしくは被る損害および、それら確率が既知の状況下において、人がどのような選択をするか記述するモデルである。 

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(中略)

例えば、以下の二つの質問について考えてみよう。

  • 質問1:あなたの目の前に、以下の二つの選択肢が提示されたものとする。
  1. 選択肢A:100万円が無条件で手に入る。
  2. 選択肢B:コインを投げ、表が出たら200万円が手に入るが、裏が出たら何も手に入らない。
  • 質問2:あなたは200万円の負債を抱えているものとする。そのとき、同様に以下の二つの選択肢が提示されたものとする。
  1. 選択肢A:無条件で負債が100万円減額され、負債総額が100万円となる。
  2. 選択肢B:コインを投げ、表が出たら支払いが全額免除されるが、裏が出たら負債総額は変わらない。

質問1は、どちらの選択肢も手に入る金額の期待値100万円と同額である。にもかかわらず、一般的には、堅実性の高い「選択肢A」を選ぶ人の方が圧倒的に多いとされている。

この一連の結果が意味することは、人間は目の前に利益があると、利益が手に入らないというリスクの回避を優先し、損失を目の前にすると、損失そのものを回避しようとする傾向(損失回避性)があるということである。

※Wikipediaより

 

プロスペクト理論は行動経済学の代表的な理論で、人間は「利益の遺失」と「損失の回避」を好む生き物である、ということを説明した理論です。人間の損失回避性という心理を如実に表しています。

 

保険は実はこういった人間の「損をしたくない」という心理を利用した商品です。

 

なぜ人は保険に文句を言わないのか?

 

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自分が払った高価な保険料に対して対価が返ってこなくても文句を言われない、保険はとても不思議な商品です。

 

オリックス生命の保険料シミュレーションをベースに考えてみましょう。

例えば、25歳で解約返戻金なしの定期保険(死亡保険3000万円)に加入すると、毎月かかる保険料は約4,400円です。60歳までで毎年約5.3万×35年=185.5万円を払い込む訳です。しかし、実際に死亡しないとなると185.5万円は掛け捨てとなります。

(※ネット保険なので比較的保険料は安いですが、これは日本生命や第一生命などの高コストの対面型営業の生保会社の保険商品であれば、価格はもっと上がります)。

 

この場合、満期までに死亡しなければ185.5万円は丸損ですが、満期を迎える60歳まで健康に生きられたなら「それはそれでよかった」と納得して、殆どの契約者は払い込んだ185.5万円が返って来ないことに文句を言いません。

「それが保険の商品特性だ」と言ってしまうと思考停止してしまいます。価値と対価を交換するのが商取引だとしたときに、保険の商品性には疑問を感じざるを得ません。

保険が不要な3つの理由

①死亡保障はいらない

まず、死亡保障は原則的に要りません。理由を3点に分けて説明します。

年齢階層別 死亡率 (人口1000人当たり)

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※厚労省「人口動態統計」

このグラフをご覧頂いてわかる通り、年金が出る65歳までに私たちが死亡する確率は極めて低いことが分かります。40代までは男性0.2%, 女性0.1%で、50代でも男性0.6%、女性0.3%となっています。

 

確率論で見た時に、多くの人が死亡保険満期を設定する60歳前後までに死亡する確率は極めて低いのです。

しかし、プロスペクト理論にある通り、

「保険に入っていないと、何かあった時に保障を受けられない」

という、損失を回避したい気持ちが勝ります。

そのため、負ける可能性が高いゲームに乗ってしまっている方が多い状況になっている可能性もあります。

 

若い独身者は誰にお金を残す必要があるのか?

保険会社の営業担当は特に若い人をターゲットに営業します。

人生経験の少ない若者に対して、死亡保障・医療保障・特約などを複雑に絡み合わさった商品を、

「大人になったら、保険に入るのが当たり前」

という固定観念を突いて加入を進めます。

 

これは、「家を買ってこそ一人前」という、不動産業が全世帯に物件を販売するために形成した価値観と一緒です。

 

しかし、実際には独身者には死亡保障は必要ありません。まず若いだけで死亡する確率が低いですし、そもそも死亡保障に加入して、お金を誰に残す必要があるのでしょうか?

 

サラリーマン家庭は特に保障が手厚い

もし、ご結婚されている世帯主である夫が亡くなった場合、家族のその後の生活が心配という方が多いと思います。

まず知っておきたいのは、遺族年金が存在するということです。

遺族基礎年金

子供がいる家庭のための遺族年金で、子供の人数によって支給額が変わりますが、だいたいお子さん1人いれば年100万円が支給されます。

遺族厚生年金

会社員の場合、遺族基礎年金に上乗せして支給されるもので、標準報酬月額によって支給額が異なります。

だいたい月収30万円の世帯主が妻と子1人を残して死亡された場合、年間50万円が支給されます。

勤め先の障害見舞金、慶弔見舞金も

さらに、大きな企業にお勤めの方であれば、従業員本人の死亡や重度障害に対して、会社が加入している保険から、かなり高額の障害見舞金や慶弔見舞金が出ることがあります。大きな会社だと数千万単位で出ます。

結構自社の人事制度をしっかり理解していない方も多いので、これを機会に再度確認してみても良いでしょう。

 

②医療保険もいらない

一般的なサラリーマンは既に超優良な保険である「健康保険」「雇用保険」に加入しており、毎月保険料を支払っています。

実はこの健康保険と雇用保険があれば、殆ど大きな医療上の問題はカバーされてしまいます。

※日本の健康保険はとても優秀

海外では国民皆保険が無いのが当たり前です。新興国などでは治療費は「先払い」です。

ドクターはお金を先に払わない人の治療はしません。病気になった貧困層がお金が払えずにそのまま治療を受けらなくて亡くなってしまう、ということが普通に起こっています。

低い自己負担で済む健康保険

日本の健康保険においては、医療費はわずか3割負担です。また、高額医療費制度というのがあり、標準報酬月額28万円~50万円の方であれば仮に月の医療費が100万以上かかる治療を受けたとしても、保険診療内であれば毎月の自己負担は9万円程度になります(本人の追加希望による差額ベッド代や先進医療にかかる費用は対象外)。

さらにそれが長期間続いた場合、「多数回該当」という仕組みが適用となり、自己負担額は半額程度にまで下がる仕組みもあります。

高額医療費が1年も2年も続くということはまず起こりにくいです。結論として、100万円程度の貯金さえあれば医療保険は必要ありません。

雇用保険の傷病手当

病気や怪我で3日以上連続して仕事を休んだ場合に、雇用保険から傷病手当が支払われます。

1日あたり、標準報酬月額12か月分の平均額を30で割った額の3分の2(例えば標準報酬月額30万であれば、30万×12カ月÷30×0.666=7,992円)の金額が、最長1年半も支給されます。

収入の3分の2が保障されます。

 

③貯金があれば保険は不要

上記をご覧いただくと、本当に民間の保険に自分でわざわざお金を払って加入する必要があるのか、疑問を抱く方も多いと思います。

特にサラリーマンの方で毎月の収入が安定しており、貯金を普通にしている方であれば死亡保障も疾病保障も必要ないと思います。

だいたい100万も貯金があれば、十分に長期の治療などへの対応も可能でしょう。

 

サラリーマン家庭で、万が一のための保険が必要かも知れないのは、

「小さなお子さんがいて、家庭に貯金が殆どない」

といった状態のご家庭のみではないでしょうか?

 

そういう場合は、本当に万が一の場合に備えて保険をかけておくことは検討してもいいかも知れません。しかし、保険料を支払えるくらいなら、ちゃんと貯金をしておいた方がいいとも考えられます。

 

まとめ

再度お伝えしたいのですが、本当に将来の備えに対して安心感を持つために必要なのは、

保険ではなく、貯金であり自己資産

です。

・国の制度や実際にかかる費用をしっかりと自分で見積ること

 

そして、生活防衛資金を上回った貯金は投資に回して、将来のライフイベントや健康上のリスクなどにより厚めに備えられるように体制を作っておくべきでしょう。

 

起こるかどうか分からないイベントにお金をかけて保険会社に高い手数料を払い、自分の手元にはお金が残らない、というのは避けたいところです。

手元にお金があればお金の時間価値を活用して運用益を得ることも可能です。

 

しかし、実際には

「いざという時に保障がない」というリスクを過大評価してしまう
「万が一のことが起こったら」という言葉に不安になる
「みんなが入っているから当たり前」だと思う

といった、合理的とは言えない行動をとって、結局よくわからないまま保険に加入してしまっているケースが多いのではないでしょうか。

 

まずは、

・公的な保障内容をきちんと知ること
・人間の感情特性を理解すること
・必要な準備や対策を考えること

きちんとこれらを整理した上で合理的に判断した結果、「自分には保険が必要だ」と思えば、その時には保険に加入すべきと言えます。

 

現状そのプロセスを取っていないと認識されているのであれば、一度見直しをしてみてもいいかも知れません。

 

以上、今回も最後までお読み頂きありがとうございましたm(_ _)m 

 

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