AIであなたの信用がスコア化される世の中にどう備えるか?
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こんにちは、日比谷タクミです。
芝麻信用
という言葉をご存知でしょうか。これは中国において最も普及している有名な信用スコアであり、ゴマ信用、Zhima Credit(ジーマクレジット)、Sesame Credit(セサミクレジット)、ジーマ信用などと呼ばれています。
アリババグループが運営しており、5億人ともいわれるAlipayユーザーの多くが利用しているサービスとも言われています。
日本でもAIによる信用スコア化を基にしたサービスが始まっています。
1歩先を行く中国。芝麻信用の仕組み
この芝麻信用は、一言でいうと、
個人(または法人)が持っている信用力を簡単に数値化してくれるサービス
です。
日比谷タクミにも中国人の友人が複数人いますが、中国人はこの信用スコアを上げることに、かなり真剣だったりします。
芝麻信用(ジーマしんよう、セサミ・クレジット)は中国アリババグループの関連企業アント・フィナンシャルサービスグループが開発した個人信用評価システム。顧客はソーシャルメディアでの言動やアリババグループのウェブサイトでの購入または関連企業のアント・フィナンシャルのアリペイのモバイルウォレットを使った支払いに基づく様々な要素に基づきスコアを受け取る。高スコアを得ることへの報酬として、アント・フィナンシャルからローンを受けやすくなったりアリババグループ内の電子商取引サイトにおいてより信頼できるプロフィールをもつことができたりする。
スコア領域と区分
信用スコアの考え方
スコアは5つの主要項目に分かれています。
・身分特質:年齢、学歴、職歴などのステータス
・履行能力:収入、資産額などの経済的なステータス
・信用歴史:いわゆるクレジットヒストリー。契約履行履歴、返済履歴、
・人脈関係:SNS上での友人、交友関係の人数、質
・行為偏好:支払い、振込みなど日常行動の特徴
これらを総合的にAIが分析し、スコア化して人物の信用度を評価します。
スコアが高いか低いかにより信頼度が高いか低いかが判断され、スコアが高い人は日常生活や金融面において特典が受けられ、スコアが低い人はその逆に生活が不便になっていくという仕組みです。
経済的ステータスが低い人でも、道徳的、良心的、倫理的と理解される行動をオフラインでもオンラインでも行うことでスコアは上昇する概念になっています。逆に経済的ステータスが高い方でも、日常行動が悪ければスコアが下がります。
※芝麻信用の実際の画面
・自転車レンタルの返却時間を守るとスコアアップ
・農村部に図書館を立てるプロジェクトに参加するとスコアアップ
という解説があります。
信用スコアが高いことによるベネフィット
実際に芝麻信用が提供しているスコアに応じたベネフィットは以下のようなものです。
・ホテルを予約するときに事前デポジットが不要
・賃貸サイト利用で敷金が不要
・商品購入時の後払いオプションが選択可能
・融資の審査期間短縮、金利低下、返済期間の延長
・レンタカーやレンタルサイクルなどでデポジット不要
・高スコア限定のシェアリングエコノミーサービス、マッチングアプリに参加可能
・外国ビザ取得時の書類提出が免除される
・病院で会計待ち時間短縮
だいたいスコア600点前後の信用良好が1つの境になっており、そこを超えると優遇金利、後払いオプション、デポジット不要などの特典を享受できます。
また世界的に有名なAirbnbでは、貸し手、借り手ともに芝麻信用の信用スコアを掲載できるようになっており、芝麻信用は、シェアリングエコノミーにおける信用判断機能を担っています。
過去犯罪や不正が多発していた中国では、個人情報の開示などは敬遠されていましたが、芝麻信用は個人情報を渡せば渡すほど信頼性が増してスコアも高まるようになっています。
情報開示のリスクよりも、スコアが高まった時のリターンの方が大きいので、多くの方はどんどんAIに情報を提供しているようです。
社会規範を守らないとデメリットを被る世の中に
実際にこの芝麻信用は政府の信用創造プログラムの1つとして運用されており、中国が先進国に育っていく過程で、消費者・生活者の倫理観、道徳規範の創造という趣旨があると言われています。
一方で、政治体制の強化を目的とした国民教育、統制プログラムの一貫ともいえるかも知れません。
現在ではスコアが低い人への罰則という点では限られてはいますが、実際に社会信用を損なう行動をすると、公共機関の利用を制限(電車やバス利用ができない)といった事例が出てきています。
その他、
・オンラインゲームで不正を働く
・ネット上で嘘のレビューを載せる、他人を誹謗中傷する
・ホテルやレストランの予約を、事前連絡なくキャンセルする
などの行為そのものが社会的信用スコアにしっかり反映され、実生活で不利益を被る世の中になっていっているということです。
個人の自由を制限する社会になる可能性
さらに興味深いのが、人によって価値判断が分かれる「好ましい活動」の定義が、AIスコアによって定義されつつあることです。
例えば、寄付は良いことと定義されてスコアアップの対象になります。一方で寄付は自立可能な人の自立機会を奪う行為であり、好ましくないと考えている人もいます。しかし、スコアを上げるためには寄付をせざるを得なくなります。
また、オンラインゲームを毎日10時間やっている人は、生産的活動をしてないということでスコアが下がります。しかし、自分の時間をどう使おうが自由であるという思想もあると思います。
AIスコアの発展
今後、中国以外で展開されていくのか?
これは中国だけで成立する話なのでしょうか?
確かに、「人によって価値判断が分かれる行動」もスコア化されてしまう、という芝麻信用のような信用スコアの仕組みは、社会的リスクも孕んでいると思っています。
自由よりも統制が必要な中国ならでこそのモデルと言え、これがそのまま日本や欧米で普及するかというと、そうではないでしょう。
しかし、AIがデータを取得して学習し、信用創造の一旦を担うというコンセプトは、信用補完を行う仕組みとして、今後どの国でも起こりえる潮流になる可能性があります。
日本においても、
・不動産の相対取引
・C to Cのシェアリングエコノミーサービス
・ホテル、レストラン、美容室
など、商取引における信用補完に課題があるビジネスが多数あります。
現状では、普段私たちが使っているメルカリ、ライドシェアのUber、ヤフオク、AirBnbなどでは、相互レビューを通して信用補完がなされています。
今後は各サービスに閉じた相互評価ではなく、芝麻信用のような個人、法人の信用スコアの社会的な活用が進んでいく可能性は十分にあると思います。
日本でも始まっている信用スコア化
日本でその先駆けとなっているのが、J-SCOREです。
※J.Score HPより
J-SCOREは金融機関として位置づけられていて、個人の信用をスコア化して融資するAIスコア・レンディングという形態です。
信用度に応じて金利や限度額を自動で決め、即時にローンサービスが受けられます。
融資金利は0.8%~12%で最大1000万円までと幅がありますが、みずほ銀行とソフトバンクのユーザーを優遇しており、最優遇金利は、みずほ銀行、ソフトバンク(もしくはワイモバイル)、およびYahoo! JAPANとの情報連携を行った場合に限り適用されるとのことです。
アコム、プロミス、アイフルなどの消費者金融は上限金利が年18.0%、銀行系のカードローンが代替14%~17%の上限金利ですので、確かに金利は低くなっています。
本当に金利0.8%、無担保、申し込みから当日中に融資が引けて、それを投資資金などにも使えるのであれば投資家などにとっても新しい可能性となる可能性があります。
しかし、現状だと単なる金利の安いカードローンで、そもそも、「カードローンを借りるような生活になってしまわないように」という話もあります。
そもそも経済的ステータスが良い人はカードローンの需要がありません。
ちなみに日比谷タクミも登録していて、AIスコアは900点代が出てます(多分、結構高い)。
本当に0.8%で借りることができ、それを年利5%でまわる運用に利用できるなら、高スコアを出せる人の中でも活用が進む可能性はあるかも知れませんが、現状では、事業性資金、投機用資金には利用できません。
まとめ
日本でもAIスコアで便益を受けられる人と、そうでない人に分かれていく可能性があります。
既にJ.Scoreでも"リワード"として高スコアの人に対して、企業が優遇サービスを行うといったマーケティングが行われています。
経済的なステータスだけでなく、学習・運動などの日常的な行動や、約束を守る・時間を守るといった社会規範を遵守した行動に対して高いスコアが付く、という点では社会全体を良く出来る可能性もあると思いますので、その期待感はあります。
一方で、危ういのは
「人間として規範的な行動をしているとAIに褒められて、ご褒美がもらえる」
「持つ人と、持てない人の格差がさらに広がる」
といった世の中になっていくリスクもあることだと思います。
AIやテクノロジーの進化は、大きく未来を変える可能性があります。
将来に何が起こりそうか、どんな世界が訪れそうかを常に注意して考えながら、今を行動していく必要がありそうです。
以上、今回も最後までお読み頂きありがとうございましたm(_ _)m
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