【配当再投資は本当に最強なのか?】複利の威力を実際にシミュレーションしてみた
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こんにちは、日比谷タクミです。
インカム投資家の中には、
「配当再投資が資産形成にとって重要である」
と考えている方が多いと思います。
一方で、グロース投資やバリュー投資を実践する投資家の中には、
「株価がどんどん下がって行く、配当だけのボロ株を持っててどうなるのか?」
「減配したら大損するよね?」
といったインカム投資への疑問の声もあります。
今回は、高配当株式への配当再投資に代表されるインカム投資を実践した場合に切り込み、
・配当再投資による複利運用のリターンはどれくらい期待できるのか?
・株価下落による損失、減配による損失が実際にどれくらい出るのか?
を数字でシミュレーションしたいと思います。
※この記事はこんな方におススメ
・グロース投資、バリュー投資、インカム投資のどの戦略を取るべきが分からない
・よく聞く配当再投資の複利効果がどの程度なのか知りたい
・インカム投資をしているが、いまいち自身の戦略を信じ切れていない
・高配当株式の株価下落、減配時の対応方法について知りたい
シミュレーション前提条件の整理
まず前提条件の整理をしてみましょう。
今回は高配当株式で、継続的な配当を行っている企業をイメージしていただければわかりやすいと思います。例えば米国でいうとAT&T、ABBV、MOなどで、日本でいえばJTやオリックスなどでしょうか。
例えば、AT&Tの株価はここ20年にわたっては20ドルから40ドルのボックス圏で動いており、だいたいの平均価格は30ドル前後です。また、配当利回りは5%~6%で長期にわたって推移しています。
※AT&Tの株価
出典:reuters.com
【シミュレーションの前提条件】
・投資時の株価は100ドル
・保有株数は100
・税後の1株配当5ドル(配当利回り5%) ※税前配当利回り6%強
・期末に配当金をそのまま再投資したとする
・計算は小数点以下も考慮
シミュレーション パート1
①前提条件ママ
まずは、株価が一切変化が起こらないパターンです。実際に10年、20年スパンでも株価がほぼ動かずにボックス圏で推移している銘柄もあります。
「株価が上がらなくても、十分すごい!」
そうです。
配当が一定の状態で配当再投資を20年間続けていけば、仮に株価が全く成長しなくても10,000ドルが、26.533ドルになります。累積リターンは265%です。
安定配当を出す企業が優良資産と言われる所以で、配当再投資の複利効果をそのまま感じることが出来るシミュレーションですね。
②1株配当が毎年5%上昇
次に購入時の100ドルの株価はずっと変わらず、毎年5%ずつ1株配当(DPS)が上昇していくパターンを見てみましょう。いわゆる連続増配株のパターンです。
「さすが連続増配株のリターンはすごい・・・」
20年後の資産額は48,744ドルとなり、累積リターンは487%と素晴らしいリターンになります。増配効果で配当再投資時の追加取得株数が増えることで、リターンが増大します。
実際には株価上昇で配当利回りは調整されるはずなので、毎年5%の増配銘柄を長期保有し続けることが出来た場合は、より高いリターンが期待できる可能性が高いと思います。
③株価が購入後10年間は毎年5%下落、11年目から毎年5%上昇
高配当株式はボックス圏での動きになりやすい傾向になります。
「購入直後から下落していき、どこかで下げ止まって何とか買値まで回復してくる」という動きは、感覚的にも結構な確率であり得そうです。
この③のシミュレーションは1株配当(DPS)を固定し、株価が最初の10年で5%ずつ下がり、後半の10年で5%ずつ戻ってくるケースです。
「あれ・・・株価が一度下がった方がリターンがいいぞ・・・」
そうなんです。株価が動かないパターンよりも、一度株価が下がって戻ってくるパターンの方がリターンが良くなるのです。
20年後に株価は95ドルまで戻る計算になりますが、資産額は32,116ドルまで増えており累積リターンは321%になります。これは、①前提条件ママのシミュレーション結果の265%のリターンを大きく上回ります。
最初の10年で下落した期間において、配当再投資により株数が増え、株価の回復局面でリターンが加速します。
日比谷タクミが、現在の株高局面で高配当株式や高配当債券などインカム投資に軸足を置いているのもこの理由です。
ここ10年ほど株高が続いていますので、今後株価の下落局面に入る可能性も十分あると思います。そういった局面でディフェンス面で決定的な役割を果たし、将来的に累積リターンの獲得も可能なのが、この高配当アセットによる配当再投資戦略と言えます。
かのジェレミー・シーゲルさんも
「配当は下落相場のプロテクター、上昇相場のアクセル」
と表現をしています。
シミュレーション パート2
さて、ここまで見てきて配当再投資の凄さは十分にご理解を頂けたかと思うのですが、冒頭で出てきたインカム投資への一般的な疑問である、
「株価がどんどん下がって行く、配当だけのボロ株を持っててどうなるのか?」
「減配したら大損するよね?」
という点にまだお答え出来ていません。
次にそのパターンを見ていきましょう。
④株価が毎年5%下落
残念なことに期待に満ちて購入した高配当株が、購入後にズルズルと下落していき、毎年5%ずつ株価が下落して行ってしまったパターンです。
20年後の株価は40ドルになり、60%も下落してしまいます。仮に1株配当(DPS)は変わらないとしても、果たして資産額はどうなるでしょうか?
「あれ、増えている?しかも188%・・・!?」
株価は確かに下落していきますが、配当再投資を行う際の追加買付のタイミングにおいては配当利回りがどんどん高くなっていきます。そのため、株価の下落分をカバーするだけでの株数積み増していくことができます。
結果、意外なことに20年後には株価が60%も下落するにも関わらず、リターンは188%となります。
⑤株価が毎年5%下落、1株配当が毎年5%減少
「いやいや、株価がそれだけ下がるボロ株なら将来は減配するだろうし、そしたら大損だよね?」
という疑問に答えるためにも、さらに条件を厳しくして見ていきたいと思います。
最後のシミュレーションは、
・毎年5%ずつ株価が下落
・1株配当も毎年5%ずつ減少する
というシナリオです。
「あれ・・・、資産額が減ってないぞ・・・??」
そうです、実は向こう20年で株価が60%下落、1株配当が60%下落という最低・最悪の状況が起こったとしても、資産額は減らないのです。むしろ6%のリターンが出ています。
まとめ
百聞は一見に如かずで、シミュレーションから高配当銘柄への配当再投資がもたらす複利の威力について述べてきました。
ビジネスにはライフサイクルがあり、ビジネスモデルの賞味期限には終わりがあります。現在大きく成長している銘柄が将来も伸び続けるとは限りません。
またマーケットも生き物であり上下動を繰り返します。嵐が来た時に、成長期待で買われている銘柄は大きく売られますが、配当が出なかったり小さかったりすると、クッションがありません。
しかし、
・人々の生活に根差した堅実なビジネスを行っている会社
・株主還元の姿勢が強く、継続配当・連続増配の実績がある会社
などは、オールドエコノミーと呼ばれてはいますが、ビジネスの寿命が比較的長く、過去の配当実績が将来のリターンの蓋然性を一定担保します。
配当は成長局面にも下落局面にも強みを発揮します。
日比谷タクミは高配当株式のリターンの側面よりも、ディフェンシブな側面により高い価値を感じているので、インカム重視で配当再投資の投資戦略を取っています。
今回のシミュレーションはあくまでタラればですし、配当再投資については人それぞれ捉え方は様々だと思います。今回の記事がみなさまの投資の参考になれば幸いです。
ちなみに、日比谷タクミはSBI証券をメインで使っていますが、最近サービスを開始したSBIネオモバイル証券は配当再投資戦略にフィットした証券会社です。
・個別の高配当株を1株単位で売買できる
・株式は月に何度売買しても月200円の利用料のみ。毎月Tポイントが200ポイントもらえるので実質売買手数料はゼロ
というサービスになっており、配当再投資をこまめに行うのにベストな選択肢かも知れないと考えています。Tポイントも使ってポイント投資をすれば、運用効率はさらにアップします。
口座開設も早く、クレジットカード登録を行えばすぐに買付を開始できますのでTポイントを持っていて、配当再投資をコストをかけずに行いたい方にはオススメです。
HPはこちら→ SBIネオモバイル証券
以上、日比谷タクミでした。今回も最後までお読み頂きありがとうございましたm(_ _)m
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