日比谷タクミ 令和を生きるサラリーマンの資産形成

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"現在価値で考える" 市場価値の高い人材の定義

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こんにちは、日比谷タクミです。

本日は"現在価値"という概念を使い

市場価値の高い人材とは何か?

について考えたいと思います。

 

 

人材の市場価値の考え方

株式市場と同じ人気投票的な市場

基本的に人材市場というのは、みんなが買いたい銘柄の株価が上がるのと同様に、

みんなが欲しがる人材に高い市場価値が付きます。

もちろん転職市場は相対取引的な要素もあるため例外はありますが、

・高いスキル、希少な経験
・高い実績
・信頼性の高い人柄

などに、高年収なオファーという形で高い報酬が提示されます。


どんな企業でも社員に対する基本的な期待は、「真っ当に仕事をして、安定して活躍して、継続して会社に利益をもたらしてくれること」です。

 

例えば営業職であれば、

「高い金額の利益を上げてくれるか?」
「継続して利益を上げてくれるか?」
「誠実に、真っ当な方法で仕事をしてくれるか?」

という3点がメインの評価軸になります。

 

もう少しシンプルに言うと、

・パフォーマンスの高さ
・パフォーマンスの安定感
・人物信頼性(スタンスや誠実さ)

の3つを面接で判断して採用を決めたり、社員の評価を決めるということです。

 

ファイナンス的な考え方で人材の市場価値は決まる

さて、それでは具体的に市場価値とはどうやって決まるのでしょうか?

よく企業買収(M&A)の現場では、

DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)

という企業価値算定手法が使われます。

DCF法において「現在の売却価値は、将来生み出すキャッシュフローから、リスク(不確実性)を割り引いたもの」として算出されます。

 

以下の公式で表せます。

現在価値(PV)=①期待キャッシュフロー(CF)÷②割引率(D)

となります。

 

本来ファイナンス理論では①はフリーキャッシュフロー、②は加重平均資本コストという借入調達コストと資本調達コストの加重平均となりますが、今回はシンプルに割引率とします。

期待キャッシュフロー=稼ぎ出す利益 - 給与コスト
割引率=パフォーマンスの安定性×人物信頼性

となり、期待キャッシュフローからその不確実性(リスク)の分だけ現在価値が割り引かれるという計算になります。

  

A君とB君のどっちを昇格させますか?

A君

①営業として3年間の利益実績は3000万円、4000万円、3000万円の合計1億円
②コツコツ真面目タイプで目立たないが、クライアントや同僚などから信頼されるタイプ

B君

①営業として3年間の利益実績は6000万円、1500万円、5000万円の合計1.25億円。
②好かれる人にはすごく好かれるが、嫌われる人には嫌われる。クライアントや同僚からの評価は割れるタイプ

この2人を比べた時に、①のキャッシュフロー観点で見ると、A君1.0億円、B君は1.25億円となり、キャッシュフロー実績だけを見るとB君が大きくA君を上回ります。過去の実績から見ても、今後A君がB君より高い利益を上げる可能性は低いと予想されます。

一方で、②の不確実性部分を見ると、A君は昇格して部下を持った時も誠実なスタンスで仕事をする可能性は高く、また安定したパフォーマンスも期待できそうです。部下との関係性やクライアントとの関係性に大きな問題は起こらなそうだと考えることができます。そのため、昇格させた場合のリスク(割引率)は5%としましょう。

A君の現在価値=3000/1.05+4000/1.05+3000/1.05=0.95億円

 

さて、B君は確かに営業として利益を上げる力があるようです。仮に昇格させてもB君のように高い利益を出せる人材を育成できる可能性があります。

しかし、パフォーマンスにバラ付きがあり、クライアントとの関係性で安定感にも欠けるため、何が起こるかわからないリスクも感じます。そのため割引率(リスク)を高めに設定し、20%と置きます。

B君の現在価値(PV)=6000/1.25+1000/1.25+5000/1.25=0.96億円


期待キャッシュフローでは2500万円の差があったA君とB君の差は、リスクを考慮した上で現在価値を求めると、差は0.1億円まで縮まりました。

 

こうなると、ほぼ差は無いに等しいと言える数字ですので、A君とB君のどちらを昇格させるかは合理性で考えるとほぼイーブンとなります。あとは意思決定者のこだわりや好き嫌いなど、感情的な理由が影響してくるものと思われます。

このように

期待キャッシュフローの安定性の低さ、人物信頼性は評価においてリスク要因となって割引率を押し上げる

ため、現在価値にネガティブに働きます。

 

実際の人材評価の現場

社内評価の場合

日比谷タクミは一応管理職として働いており、社員の評価を決めたり、面接で誰を採用するか決めています。実際の会社における社員評価の現場を紹介しましょう。 

先ほどDCF法の公式で説明した通り、現実も期待パフォーマンスが高いだけでは評価されず、昇進や昇格は決まりません。実際の評価の現場では、多かれ少なかれDCF法的な考え方が評価に使われています。

 

会社で人事評価を行う場面では、

「XXXは今期はすごくパフォーマンス良かったけど、昨期はダメだったから安定感に欠ける。高く評価しづらいよね」
「XXXはいつもいい発言するけど、たまにズレた事を言うから、信頼しきれないよね」
「XXXはスタンスはいいけど、実績にいまひとつ欠けるから昇格させづらいよな」

といった会話が実際になされています。パフォーマンスをベースに、安定感や人物信頼性を割り引いて人材評価をしています。

面接評価の場合

これは転職市場などでの候補者評価も同様です。もちろん前職での仕事内容や実績は重視します。

しかし実際には、

・職歴の一貫性を好む
・転職の理由を重視する
・転職歴が多い人を敬遠する

といった企業が多いのも実態です。

こういったことを気にする企業は、入社後の退職リスクや職場不適合のリスク(割引率)をより高く見積もる傾向にあるため、

期待キャッシュフローの高さよりも、リスクの大きさを重視して候補者評価をします。

特に中途採用面接では、全く知らない人を外部から入れる訳なので、期待パフォーマンスよりも不確実性に敏感になります。

 

まとめ

日本企業、特に大企業は一般的に、

「期待キャッシュフローより、不確実性へのプライオリティが高い」

傾向にあると思います。

 

最近は企業ガバナンスの観点からコンプライアンスが重視され、「セクハラ・パワハラ何でもありだけど、凄く仕事ができる上司」みたいな人は会社から消えていきました。

今回は、そのコンプライアンス面の意識の重要性を鑑みて、割引率(リスク) の観点にパフォーマンスのボラタリティ(変動の大きさ)だけでなく、人物信頼性(スタンスや誠実さ)を入れています。

改めて、人材の市場価値の本質は、

・パフォーマンスの高さ
・パフォーマンスの安定感
・人物信頼性(スタンスや誠実さ)

というDCF的観点を基本として決まっています。

自己成長のための継続的な投資や、仕事で成果を出すためのコミットメント、そして誠実さを大切にしていければ、おのずと市場価値は高まっていくと思います。

 

以上、今回も最後までお読み頂きありがとうございましたm(_ _)m 

 

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