"REIT vs 現物不動産" サラリーマンはどっちに投資すべきか徹底比較
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こんにちは、日比谷タクミです。
今日はREITと現物不動産の違いと、サラリーマンはどちらに投資すべきかについて書きたいと思います。
日比谷タクミは現在、ポートフォリオの10%を目標に国内外のREITを組み入れています。利回りが良くインカム投資家にとって使い勝手が良いアセットなので気に入っていますが、現物の不動産投資もしたい気持ちもあります。
以前の記事で書きましたが、日比谷タクミは住宅をローンで購入することは全く推奨していません。しかし、現物不動産への投資については肯定的です。今回は私の私見も混じりますが、どのように投資対象として考えていくべきなのかを見てみましょう。
REITと現物不動産の違いをざっくり解説していきます。
投資コスト
取得コスト
REITは「Real estate investment trust」といい、日本語だと不動産投資信託となります。現物のペーパーアセットになりますので、株式の現物と基本的には同じになります。手元資金があればそれを使ってREITを証券会社経由で購入すれば、インカムゲインと、値上がりによるキャピタルゲインの両方を期待できます。
REITは証券会社で購入しますが、取得にかかる費用は売買手数料のみです。SBI証券であれば数十円からで投資できます。
一方で、現物不動産は家を購入するのと同様に投資物件を購入します。その時、殆どの方がローンを組むと思います。取得タイミングで頭金、ローン抵当設定登記手数料、不動産取得税などがかかるのが特徴です。
また、中古物件であれば不動産会社への仲介手数料が物件価格の3%~5%程度かかります。新築の場合、見た目には仲介手数料は掛からないように見えますが、販売価格に販売会社の手数料が沢山乗っていますので、同じ販売価格でも、実際は中古物件よりも支払っている金額は多いかも知れません。
ランニングコスト
個別REITを購入する場合、ランニングコストはかかりません。ETFで購入する場合は保有に信託報酬がかかります。REIT ETFの手数料はインデックスファンドではありますが、少し信託報酬が高めで米国上場のETFの場合、0.3%~0.5%程度はかかります。日比谷タクミが保有しているIFGLは米国を除く先進国のREITインデックスへ投資していますが、保有コストは0.48%です。本当は米国REITインデックスも投資したいのですが、J-REITほど利回りが良くないのでちょっと躊躇しています。
一方で現物不動産の場合は、ランニングコストが結構大きくなります。まずローン借入金利の支払いがあります。それ以外に、土地・建物にかかる固定資産税・都市計画税、修繕費、損害保険料、また管理を委託する場合は不動産会社への管理委託費(賃料相場の3-5%)などがかかります。
適用される税制
日本でREITは株式などと同じ税制が適用されるため、売却益、分配金は源泉分離課税となり、一律20.315%です。海外ETFを購入した場合は現地の源泉税も10%かかりますが、外国税額控除で一部または全額が取り戻せます。
現物不動産からの家賃収入は税務上は「不動産収入」となり総合課税になります。累進課税の対象となるので、年収の高いサラリーマンが不動産投資をすると、本業収入と収入が合算されるので課税所得がかなり高くなってしまいます。(現物不動産の売却益は譲渡所得になるので、こちらは分離課税になります)。そのため、法人を設立して物件を購入し、法人税率を適用するというソリューションも推奨されています。
投資の特徴
投資対象
現物不動産は、区分所有の場合、新築・中古のマンションの1室を購入することになります。また戸建て物件への投資も可能ですし、1棟物件と言われる新規・中古のマンション、アパート、そして商業ビルなどへの投資も可能です。
REITの主な投資対象はオフィス、住居用のマンション、ショッピングセンターやモールなどの商業施設、物流施設、データセンターやホテルなどになります。現物不動産への投資では不可能な大規模な不動産に投資をすることが可能となっています。
分散投資のしやすさ
サラリーマンが不動産投資を始める場合、一気に複数の物件を買うというのは現実的でなく、拡大を目指すのであれば「1物件を購入して上手くいったらもう1物件」と何年もかけて買い進めていくことになります。そのため、現物不動産は集中投資と言えます。
REITの場合、そもそも1つの物件に投資していないので、1銘柄を購入すると自動的に分散投資をしていることになります。また1株から売買が可能で、J-REITであれば最低投資金額は5万円程度ですので、複数のREITを保有することも可能です。日比谷タクミも、オフィス系、ホテル系、住居系、商業系、物流系などの銘柄を分散して保有しています。
海外への分散投資も圧倒的にREITの方がしやすいと言えます。米国市場に上場しているREIT ETFなどを使えば、米国、ヨーロッパ、豪州など世界中に投資が可能です。
一方で、現物不動産は海外投資へのハードルが高めです。米国不動産や、新興国不動産なども人気が高まってはいますが、そもそも情報や質や透明性に国による違いがありますし、きちんとした投資判断を行うには語学力が必要になります。英語で売買や管理を完結できる投資環境であれば何とか対応可能かと思いますが、それ以外の言語となると正直ハードルが高いのではと思います。
▼参考:日比谷タクミのJ-REIT保有銘柄
流動性
REITは証券としての扱いなので、価格が上がった時、価格が下がった時、もしくはキャッシュポジションを持ちたい時など、売りたい時に市場で売ることができるという流動性の高さが大きなメリットになります。
一方で現物不動産は相対取引となりますので、市場で売却ができません。売主が買主を探すというプロセスが必要となるので、売りたい時にすぐ売れないというデメリットは常に付きまといます。流動性リスクを軽減するため、入り口での物件選定、EXITプランが重要となります。
レバレッジ
REITはレバレッジをかけることができないため、手元資金の範囲内での投資となります。つまり自己資金が500万円であれば、500万円でREITを購入し、だいたいの期待リターンが3-6%程度になるため、年間リターンは15万~30万円になります。
しかし、現物不動産は借入によるレバレッジをかけることができます。日比谷タクミはここが現物不動産の最大のメリットだと考えています。手元資金の500万円を頭金にして4500万円を借り入れし、5000万円の物件を購入することが可能です。少ない手元資金でリターンを膨らます、ということが出来るのが現物不動産です。
安定収入が見込めるサラリーマンは、銀行からの融資を引き出しやすいというアドバンテージがありますので、サラリーマンには有利な投資と推奨されている方もいます。
とはいえ、借入ですので借金です。借金ですのでローン金利も払う必要がありますし、返済できなくなった時は投資を継続できない上、借金を抱えるケースもあるので留意が必要です。
投資の手間、時間コスト
サラリーマンは本業が会社での仕事ですので、この手間というのは投資実行の判断する上では非常に大切な要素となります。
物件購入の手間
現物不動産は購入にかなりの手間がかかります。賃貸収入の利回り、売却益を含めた投資リターンを決めるのは大部分が物件選定のため、地道に候補物件を探す必要があります。
REITのように公開市場で誰でも売買はできないので、条件のいい銘柄は簡単には見つかりません。また購入時にも様々な手続きが必要のため、現物不動産は買うまでに手間がかかるという特徴があります。
維持管理の手間
現物不動産の場合は空室時の入居者募集、修繕、家賃収納などの業務が発生します。自分でこれらの管理業務をやっている人もいますが、サラリーマン場合は本業が忙しい人も多いので、だいたい管理会社に委託しており、実際には維持管理にかかる手間は小さいと言えます。
利回り
実質利回り
REITの場合は保有金額の3-6%が平均的なリターンというケースが多いです。比較対象となるのは高配当株式の配当利回りですが、日比谷タクミの保有する海外REIT ETF、J-REITなどの平均利回りは5%強となっています。
REITは株式よりも比較的普段の価格変動が小さいので分散投資の対象として適しているといます。もちろん、不動産バブル崩壊などが起これば価格は暴落しますが、それは現物不動産の場合も同様なので、REIT固有のデメリットとは言えません。
現物不動産の場合、物件の賃貸収入から得られる収入を購入価格で割り返した利回りを、表面利回りと呼びます。ここからローン元本支払い・金利支払い・税金・保険料・管理費などのランニングコストを除いた手残りが、実質利回りとなります。
現物不動産でいう実質利回りが、REITでいう分配金利回りと同じ概念になります。つまり実質利回りがREIT並みならば、レバレッジをかけられるというメリットがある分、現物不動産の方がREITよりも収益絶対額が大きくなります。
つまり、自己資金に対するROIが高いということです。
利回りの安定性
REITの場合は業績によって分配金が変動します。分配金が下がることもありますし、超過分配されることもあります。とはいえ、基本的には購入時の期待利回りを大きく下回って乖離するケースは少ないと言えます。
一方で現物不動産の場合、ほとんどのケースで期待利回りを上回る超過収益を得られるケースはありません。家賃を上げると空室リスクが高まるからです。
逆に空室、賃料低下、賃料未払いなどの利回り低下のリスクが大きい点は注意が必要です。空室が出て埋まらないことで、本来収入が発生するはずなのに、誰も住んでいない物件のローンを支払っているだけ、という状態に陥る大家さんも多数存在します。
出口戦略
ここはREITも現物不動産もイーブンと言えるでしょう。売却時に適用となる税制は異なりますが、価格の上下動リスクはどちらにもあります。
REITは投資対象とする銘柄を入れ替えながら投資対象としての価値を維持する工夫ができますが、現物不動産は経年劣化があるため、将来の物件価値は高い確率で下がります。投資タイミングにもよりますが、相対的に将来的な値下がりリスクが高いのは現物不動産と言えます。
節税効果
現物不動産には減価償却費が適用になり、法人で不動産投資をすれば経費として計上できる費用があるため、節税効果が期待できます。
不動産の建物部分に対して減価償却は適用されますが、構造ごとに耐用年数が決まっています。(鉄骨鉄筋コンクリート:47年、重量鉄骨:34年、木造:22年 ※すでに法定耐用年数を超えている場合の耐用年数は、法定耐用年数×20%)。
REITにはこの節税効果はないので、レバレッジとあわせて現物不動産の強みの一つと言えます。
「月の利回りがマイナスでも、将来物件が手元に残れば売却できる」
まとめ
ざっくり解説と言いながら長くなってしまいましたが、日比谷タクミの結論としては
「REITはポートフォリオの一部には入れるべき」
「現物不動産はメリットが沢山あるが、投資タイミングを判断すべき」
となります。
REITはペーパーアセットの中では利回りも相対的に高く、価格も安定していますが、不動産というアセットクラスへの集中投資は避けるべきなので、ポートフォリオの一部には組み込むという方針で良いと思います。
一方で現物不動産は、
・レバレッジや節税効果が大きく取れる
・安定収入があるサラリーマンに有利
であることのメリットが大きいと思っています。
しかし、十分な表面利回りが取れる物件を確保できないと収益を出すのが難しく、特に日本は人口減少に伴い物件が余っていく構造にあるため空室リスクが高くなっていきます。また物件価格そのものの低下も懸念され、出口戦略にも懸念が残ります。
2019年現在は物件価格の上昇から、特に人気のある都内の物件は表面利回りが低くなっており、新築中古問わずに表面利回りが4-5%程度という物件がザラです。
日比谷タクミは、投資戦略を考える際に、必ずシミュレーションを行い、期待実質利回りを算出して投資判断をしています。
自身の属性を加味したシミュレーションにおいて、現物不動産の場合は、レバレッジをかけても表面利回りが最低7%以上はないと魅力的な投資と言えないと考えています。
実際に日比谷タクミもいくつか物件を見ましたが、新築・中古に限らず表面利回りが低く、なかなか株式や債券などのペーパーアセットのリターンを大きく超える投資物件が見つからず、投資要件を満たしませんでした。
本業、副業などで物件探しの時間もなかなか取れないため、
「当面は現物不動産への投資はしない」
と判断しています。
今後不動産価格が少し下落し、適正な表面利回りが取れる物件が見つかりやすいタイミングでは検討をする可能性が高いと思っています。
今回はREITと現物不動産について個人的な考えを書きましたが、書ききれてない内容もあるのと、日比谷タクミは実際に現物不動産への投資はしていないので、実際に投資をしている皆様の方がお詳しい部分も多々あると思っております。異なる見方や見解などがあれば、ぜひコメントなどでご教授いただければ幸いです。
以上、今回も最後までお読み頂きありがとうございましたm(_ _)m
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