配当キャッシュフロー重視の投資家が基準とする配当利回りとは?
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こんにちは日比谷タクミです。
配当重視の投資をしていると、気になるのが、
「配当利回りのターゲット水準」
です。
一言に高配当と言っても、人によって高配当の定義は異なります。
3%の配当利回りを指して「高配当」という方もいれば、6%以上の配当利回りを指して「高配当」という定義をされる方もいます。
今回は高配当をどのように定義して、どういった形で銘柄をスクリーニングするか、について個人的見解を書いてみます。
配当利回りターゲット値
日比谷タクミは、基本的に配当利回りが高い銘柄を優先的に投資しています。
配当キャッシュフローを重視している投資家として、高い配当利回りを求めるのは当然と言えます。
しかし、高配当であることにはそれなりの理由があります。
将来の業績に懸念や不安があったり、訴訟や政策などの面でリスクを抱えていたり、素直に機関投資家、個人投資家が買えない事情があるからこそ、株価は売り込まれていたり、割安に放置されていたりします。
ここからは配当利回りの段階別に、日比谷タクミが敷いている大まかな銘柄スクリーニングルールについて、自身の保有銘柄をベースに整理していきます。
①配当利回りが6%前後(もしくはそれ以上)
おそらく投資対象銘柄として6%の配当利回りは最高水準になると思います。
税後でも5%近い水準となるこういった銘柄群は、魅力的である一方で将来の業績に懸念がある、もしくは直近の業績が芳しくなく一時的に大きく売り込まれているケースが多いです。
配当利回りが6%前後、もしくはそれ以上ある銘柄群をスクリーニングする時の基準は以下です。
・連続増配、もしくは累進配当(現地通貨ベース)
・安定した営業キャッシュフローマージン
・株価が割高でないこと
もちろん配当性向なども見ますが、一時的にEPSが悪化することで配当性向が高くなっていたり、明確に超過配当を出せている理由がある銘柄は例外的に扱っています。
この配当利回り6%前後の銘柄群でいうと、
T AT&T
MO アルトリア・グループ
RDS.B ロイヤル・ダッチ・シェル
ENB エンブリッジ
ABBV アッヴィ
などが該当します。
常に売り込まれて配当利回りが高いタバコ株
例えばタバコ銘柄などは世界的な規制強化、健康志向の高まりによって今後事業成長の見込みが立てづらくなっており、株価は悪材料が出るたびに徹底的に売り込まれ、上がりにくくなっています。
しかし、高収益のタバコ会社の営業キャッシュフローマージンは極めて安定しています。継続利用者が多い製品であり、先進国における値上げ余地もあれば、人口が増加していく新興国での販売増なども見込めるため、簡単に事業の屋台骨は揺らがないと判断しています。
※タバコ3銘柄の2018年度営業CFマージン
高配当のフラッグシップ、AT&T
AT&Tは言わずとしれた高配当、連続増配銘柄で配当利回りは6%前後を推移しており、34年連続増配を続けています。
しかし、株価は長期でボックス圏での推移となっています。
※AT&Tの10年株価推移
AT&Tはタイム・ワーナーなどの積極的な買収により抱えた1,800億ドルにのぼる負債が重しとなり、将来的な減配リスクを懸念されており、株価の上値が抑えられています。
しかし、営業キャッシュフローマージンは25.5%(2018年度)と安定しており、配当性向にも余裕があります。Q2決算では負債の返済計画が発表されました。
減配リスクをどう読み込むか?
これら6%程度の配当利回りを持つ銘柄は、多かれ少なかれ、将来的な減配リスクを抱えています。
「減配リスクをどう読み込むか?」
で、積極的に保有しにいかどうかのスタンスも変わると思います。
ちなみに、日比谷タクミが配当利回りが9.5%の時に仕込んだVOD ボーダフォンは、「これは減配あるだろうな」と思って投資して、見事に40%の減配を演じました。しかし、減配後の現在も配当利回り5%以上を維持しています。また削減した配当原資により事業再成長のための投資を行っているため、株価は大きく下がっていません。
もちろん減配の心配がない銘柄の方がいいですが、その分株価が割高になり、配当利回りが低くなります。
減配リスクがあっても、程度によって大きなダメージにならない可能性もあります。キャッシュフロー重視の場合、高い配当利回りがあり、過去の配当政策、また増配や安定配当実績があるのであれば、減配を織り込みつつ多少強気に行っても悪くないと思っています。
また、銘柄を分散していくことでそのリスクを軽減するというのも手段の1つです。
②配当利回りが5%前後
配当利回り5%前後でもあまりスクリーニング基準は変わりません。
・連続増配(現地通貨ベース)
・一定の配当成長率
・安定した営業キャッシュフローマージン
・株価が割高でないこと
営業キャッシュフローマージンが高く安定していること、株価が割高でないことはもちろんですが、過去に継続して配当成長している銘柄を選定基準としています。
ここに該当するは、
XOM エクソン・モービル
IBM インターナショナル・ビジネス・マシーン
などです。
配当利回りが5%程度だとちょっと物足りないとは思います。しかし、将来的な業績に大きな不安がある訳ではなく、以前より成長が鈍化していたりすることにより配当利回りが高まっているケースが多くあります。
AIテクノロジー企業への脱皮を図るIBMや、引き続きグローバルメジャーの中で明確な存在感のあるXOMなど、少なからず今後の配当成長が期待できる状況であれば積極的に買っていけると思っています。
③配当利回り4%前後
実は日比谷タクミはこのゾーン銘柄をほとんど保有していません。
配当利回りが少し魅力に欠ける上、高い配当成長が実現できそうな銘柄も多くないからです。
敢えて保有の条件を述べるなら、
・連続増配(現地通貨ベース)
・高い配当成長率
・安定した営業キャッシュフローマージン
・株価が割高でないこと
となると思います。
日比谷タクミの投資スタンスは、配当キャッシュフローを目的として、一生売らずに配当確定利益を享受し続ける投資スタンスです。
そのため、個人的には配当利回り4%前後の銘柄で選定を行うとすると、高い配当成長率を求めざるを得ません。
配当利回り4%程度の連続増配銘柄と言えば、
VZ ベライゾン・コミュニケーションズ
CVX シェブロン
といった銘柄が該当しますが、必ずしも高い配当成長率である訳ではないので、悩ましいゾーンです。
④配当利回りが3%前後(もしくはそれ以下)
一般的にはこのゾーンに、超優良の銘柄が集中している傾向にあります。
JNJ ジョンソン・アンド・ジョンソン
PG プロクター・アンド・ギャンブル
MCD マクドナルド
KO コカ・コーラ
などが該当します。
日比谷タクミはJNJの訴訟リスクが表面化して142ドル付近から130ドル以下まで落ちた時に保有しました。
※JNJの10年株価推移
少額保有しているのみですが、配当利回り3%前後であれば以下の条件をベースにスクリーニングしています。
・長期連続増配(現地通貨ベース)
・高い配当成長率
・株価成長が見込める
・安定した営業キャッシュフローマージン
・株価が一時的に落ちている
これらの簡単に揺るぐことのない超優良銘柄はなかなか株価が落ちてこないので、一時的に株価が下がったタイミングが買い場になります。
また、配当成長と株価成長の両方があってこそ、投資のメリットが出てくると考えています。配当利回り3%の銘柄が配当利回り6%の銘柄をトータルリターンで上回るには、配当成長率のみだけでは時間がかかるからです。
そのため、株価の成長が一定見込める銘柄しか投資対象にしていません。株価成長によるキャピタルゲインの獲得も、出口としては選択肢になり得るからです。
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こちらで配当利回り別の長期リターンをシミュレーションしています。
③、④の代替として高配当株式ETFという選択肢
現状③、④のような配当利回り3%~4%程度の個別株を買うのであれば、高度な銘柄分散効果が期待でき、株価成長も見込めるSPYDやHDVといった高配当株式ETFも代替の選択肢に入ります。実際に日比谷タクミもETFを選択している現状です。
※高配当株式ETFの比較 2019/8/12時点
まとめ
日比谷タクミは投資目的を配当キャッシュフローとしているため、運用方針が極端かも知れません。
基本的に短期・中期・長期のキャッシュフロー重視し、一生涯保有し続けるという投資戦略の観点から、配当利回りについては結構厳しめの基準で見ています。
人によって配当利回りの基準値は違うと思いますし、そもそも配当利回りでは銘柄を見ていない方もいらっしゃると思います。
それぞれ投資目的も違えば、配当利回りのターゲット値も違うと思いますので、自分なりの基準と、ポリシーを持って運用すれば良いと思います。
皆様のご参考になれば幸いです。
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