【投資家が解説】新築ワンルームマンションを買ってはいけない3つの理由
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こんにちは、日比谷タクミです。
今回は、
「新築ワンルームマンションを買ってはいけない理由」
についてお話をしたいと思います。
日比谷タクミはそもそも不動産投資については肯定的な意見を持っています。
▼関連記事 現物不動産投資は検討に値します
しかし、新築ワンルームマンション投資は絶対に辞めた方が良いと考えていて、今回は投資家目線でその理由を解説します。
新築ワンルームマンション業者が売るのに必死
基本的に投資情報というのは資産形成に興味がある人しかアクセスをしません。情報を収集していく中で投資戦略を固め、有利な投資銘柄を決めていく訳です。
しかし、新築ワンルームマンション投資は、投資に興味のないサラリーマンにとっても、一度は聞いたことがある投資となっていると思います。実際に周囲の友人などで新築ワンルームマンションへの投資を行っている人がいることもありますが、それは業者の営業スタイルが受け身でなく、アグレッシブなことが影響しているかも知れません。
会社携帯への着信
日比谷タクミが会社から支給されている携帯には、どこからリストを入手したのかわかりませんが「〇〇社の社員様に向けてご案内がありまして」と、投資用ワンルームマンションの販売業者から携帯に電話が掛かってきます。
ある筋から得た情報によると、1つの法人の携帯番号を調べたら、電話番号の下四桁の1桁を変えてランダムに電話をかけていく、という手法が取られているようでした。
海外駐在している時も何度もかかってきて「これ、海外通話ですけど大丈夫ですか?」と言うと、だいたいガチャ切りされました。
意識調査という名の営業
繁華街を歩いていると「お金に対する意識調査のアンケート宜しいですか?」「年金に対する意識調査をさせて頂いても宜しいですか?」とTV局のスタッフ風に近寄ってくる若いお兄さんがいます。どうも声を掛けられやすいみたいです。時間がある時は立ち止まって愛想よくアンケートに答えてあげることもあるのですが、ほぼ100%投資用ワンルームマンションの販売業者です。
その後、立ち去ろうとすると粘って名刺交換を求めてきます。
大量の早期離職者
日比谷タクミは本業では一応管理職なので中途採用の面接もやっていますが、新卒で投資用ワンルームマンションの販売業者に入り、疲弊して早期離職をした人から応募が多いです。
若手であれば実際に面接を行うこともありますが、聞いていくと彼らはかなり大変な営業をやっていて、本当に営業マンが電話をしまくって、粘りに粘って見込み客に営業をかけないと売れない商品であると感じます。
ある新卒でマンション販売業者に入社し、1年で離職をした方の話では、1日中電話をかけてまともに会話ができるのが2-3件、アポを設定できるのが月に1~2件、契約を取れるのが年に数件という世界であると言っていました。
新築ワンルームマンションに限りませんが、投資用ワンルームマンション販売業者のこのような営業スタイルから、
「誰かが売らないと、売れない投資物件である」
ということが分かると思います。
※楽待という不動産投資家向けサイトが実態を調査した動画が話題になりましたので、ご興味があれば見てみてください。
新築ワンルームマンションを買ってはいけない3つの理由
「不労所得が獲得できる」
「老後の年金代わりになる」
「生命保険代わりになる」
「節税ができる」
というのが業者がしている説明です。
これらはほぼ全て単なるセールストークであり、ちゃんと検証してみると、実際に投資家にとってほとんどメリットになりません。
1、利回りが低すぎる
少しネットで調べて頂ければわかりますが、客付けがしやすい1都3県の主要都市における新築ワンルームマンションの表面利回りは、高いものでも5%~6%程度となっています。
表面利回り=家賃収入/投資額×100
そもそも、入居率やランニングコストを考慮するとこの表面利回り5~6%という水準が低すぎます。
実際にシミュレーションを行っていますので、見ていきましょう。
[収支マイナス800万円]20年ローンのシミュレーション
前提条件
・物件価格2000万円
・表面利回り6% (家賃は下落しない)
・想定稼働率90%
・頭金10%
・融資金利2%固定、20年ローン
・元金均等返済
・入退去時の広告費や退去時清掃費用などは考慮しない
表面利回り6%、家賃下落なし、募集広告費その他を考慮しない、というこれだけの好条件を揃えても、20年後のトータル収支は
マイナス794万円
となります。
新築は販売価格が高すぎるのです。
新築物件は土地仕入れ、開発、建設、販売などを業者が手掛けており、そこにマージンが沢山乗っているため、価格が割高に設定されています。誰かが入居した瞬間に物件価値は2割程度下がり、その後もずっと価格が下がり続けます。利回りを獲得するのが難しいのが新築ワンルームマンション投資です。
▼関連記事 こちらで不動産価格の下落について書いています。
さらに、以下に述べるリスクがあります。
空室リスク
20年間もの間、高い稼働率が維持できるのかがまず疑問です。
区分所有というのは一棟と異なり、空室が出た際に家賃がゼロになります。入居者の入れ替えがあるとほぼ確実に空室が出ますし、すぐに客付けができないと誰も住んでいない部屋のお金を払い続けることになります。
新築から数年は何とか90-95%を超えても、その後は不透明です。
賃料下落リスク
家賃下落リスクも本来は考慮が必要です。マンションは築年数の経過に応じて毎年1%は家賃が下落すると言われています。
更新時や入居者の入れ替え時に賃料が下がりやすく、初年度の賃料維持は不可能といえます。
修繕リスク
新築といえど築10年も過ぎれば、修繕が必要となり修繕積立金ではカバーできないケースも多々あります。
ちょうど家賃が下がってくるタイミングでの修繕費増加は収益にネガティブインパクトを与えます。
[収支マイナス120万円]30年ローンのシミュレーション
「20年ローンだと手残りが出ないので、30年ローンにすべき」という意見を考慮し、30年ローンのバージョンでもシミュレーションしてみます。
前提条件
・物件価格2000万円
・表面利回り6% (家賃は下落しない)
・想定稼働率90%
・頭金10%
・融資金利2%固定、30年ローン
・元金均等返済
・入退去時の広告費や退去時清掃費用などは考慮しない
同条件で30年ローンで引き直しても、まだ収支がマイナスです。30年間投資しても、手元に残るのは家賃数万円程度しか取れず、売るに売れずに管理費、修繕費、固定資産税などだけが出ていくワンルーム区分マンションがです。
サブリース(家賃保証システム)にも注意
空室リスクを避けるためにあるのがサブリース契約です。かぼちゃの馬車事件でも、サブリース契約が問題になりました。
サブリース契約というのはサブリース会社が部屋を借り上げて、実際の入居者へ転貸しする仕組みのことです。家賃保証という点で大家さんにはメリットのある仕組みですが、サブリース賃料は変更を迫られる可能性があり、契約期間中に突然解約される可能性、また契約中や終了後の追加費用の発生など、リスクが高い契約です。
サブリースについては、様々なトラブルが起こっている背景から、2018年3月に金融庁・国土交通省・消費者庁はサブリース契約への注意喚起を行っています。
2、老後の年金や、生命保険代わりにならない
そもそも20年、30年後には物件の価値が大きく下がり、家賃も下がり続けていく中で、維持費用(管理費、修繕費、固定資産税、火災保険料)などはずっと支出が続いていきます。そもそも十分な利回りが取れていない限りは、年金代わりにはなりません。
また、ローンを組む時に団体信用生命保険(団信)に加入することで、生命保険変わりになる、という論調もありますが、こちらも良く考えた方がいいでしょう。
趣旨としては、ローンでお金を借りた人が返済途中で亡くなってしまった際、保険会社が銀行に対して残りのローン残債を支払うという仕組みになっており、これが生命保険の代わりになる、ということです。
ただ、「生命保険に入りたいなら普通に加入すれば・・・?」という疑問が出てくるでしょう。なぜマイナス収益の不動産投資をして生命保険の効果を得ようとしているのかがよく分からない、と言えます。
2、ほぼ節税にならない
節税には2つあり、所得税の節税と、減価償却による節税があります。
まず、不動産投資で所得税の節税というのは、不動産投資で赤字が出ていることが前提となります。これは、自身の給与所得を相殺していることに他ならず、そもそも赤字を抱えてしまっている投資に、節税メリットも何もありません。
減価償却は確かに節税になります。数千万の物件価格であれば建物部分の評価額に対して、RCで47年の減価償却をしても年間で数万円程度の節税インパクトしか出ません。サラリーマンが行う新築ワンルームマンション投資においては、赤字分を補填して余りほどのメリットと言えるような額ではありません。
では、築古や中古マンションならいいのか?
そうなると、
「築古や中古マンションならいいのか?」
という話になります。
この質問に対する回答は、
利回り次第
となります。販売価格が十分に低く、今後も安定した収益が見込めるような物件立地で、減価償却期間も長く取れる、というような物件であれば投資対象となりえるケースもあるでしょう。とはいえ、区分ワンルームマンションである限りは空室リスクによる財務インパクトが非常に大きいため、しっかりと検討が必要だと思います。
1棟ものであれば話は全然違うのですが。
比較のため、新築ワンルームマンション投資をせずに、そこに使った資金を株式や債券などを使った分散投資に置き換えてみた場合をシミュレーションしてみましょう。
前述の新築ワンルームマンションの初年度費用は386万でした。
そして1年目から20年目までずっと発生するランニングコストを、累計投入額とします。それを年利3%で安定運用可能な株式、債券により世界分散投資に回して複利運用します。
そうして20年まで引き延ばしていくと、累計収支が
プラス1,752万円(1,401万円)
になります。
築古や中古ワンルームマンションにおいて、実家賃収入、想定売却益、その他リスクなども考慮した上で税後の収支が上回っていれば、「株や債券での分散投資より、築古・中古ワンルームマンションの投資が賢い選択」という判断になると思います。
まとめ
もう一度言いますが、日比谷タクミは不動産投資には肯定的です。購入のタイミングによっては、レバレッジを利かせて大きな資産形成に繋げられることもあると思いますし、今後機会があればチャレンジしたいと思ってます。
新築ワンルームマンションの販売業者の方に全く恨みもないですし、自身で投資に失敗した経験がある訳ではありません。単純に、投資家の視点から利回り、リスクなどを考慮すると、
投資対象として不適格
と言えるだけです。
たまたま投資タイミングが良く、大きなキャピタルゲインを得てEXITできたという事例もあるのかも知れませんが、ほとんどの方が本来の収益目標に到達できず、最悪のケースは赤字を抱えて撤退するのが、新築ワンルームマンション投資です。
業者からの営業を受けたサラリーマンが、説得を受けて手を出してしまいやすい投資商材でもありますので、十分な事前知識、調査、そしてシミュレーションが必要です。その上で、投資として適格なのかどうかを精査した上で決めて頂けると良いと思います。
※本記事内のシミュレーションはあくまで試算値であり、実際のコストや投資結果を保証するものではない旨、ご了承ください。
以上、日比谷タクミでした。今回も最後までお読み頂きありがとうございましたm(_ _)m
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