ポイント投資は本当にお得なのか、一からちゃんと考えてみた
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こんにちは、日比谷タクミです。
さて今日のテーマは、
みんな大好きなポイントです。その中でも、ポイント×投資についてです。
ポイント投資が活況
ドコモ
dポイントのポイント投資
平成最後の310万ポイント
山分けキャンペーン
https://dpoint-inv.com/portal/top
こんなタイトルで銘売って、dポイントが新規ユーザー向けのキャンペーンを始めました。
最近だとPaypayに始まるこのポイントやプレチャージを付与して新規ユーザーを獲得するマーケティングの流れがトレンドになりつつあります。
最近はポイントと資産運用を連動させるサービスが続々と登場しています。
投信を買うとポイントが貯まる
楽天が投資信託の積立金額に応じて楽天ポイントを付与を行うサービスを開始し、業界トップのSBI証券の猛追をし始めたのが、つい最近です。
買い物などで貯まる楽天スーパーポイントですが、投信積立を楽天クレジットカードで決済して行うと、積立額の1%がポイントとして還元されます。月の積立額上限は50,000円で、月間最大500ポイント貯まるということですね。
対抗してSBI証券はTカードと提携を発表しました。SBI証券と、今年上旬にサービス開始予定のSBIネオモバイル証券を利用すると、楽天と類似した形でTポイントを獲得できるようになります。
貯まったポイントで投資できる
例えば楽天証券では、楽天サービスを使って貯まったポイントを投資原資として、投信などの買い付け充てられます。
また今後SBI証券のTポイントも投資として、ポイント金融商品の買い付けができるようになります。
「自分銀行口座残高が目減りすることなく、投資ができる」という観点から、初心者の投資に対する恐怖を軽減できるメリットがあり、初心者に最適投資方法とPRしているメディアもあります。
各業界からプレイヤーがポイント投資の領域に参入
この分野では大きなコマース系の経済圏を持ち、カードなど金融に強い楽天が一歩先行してきている感がありますが、ドコモなど通信系プレイヤーも参入してきました。
金融とライフスタイル分野は今までは切り離れた領域でしたが、インターネット金融が発展し潮流が大きく変わってきました。やはりトランザクション情報、カスタマー情報のビッグデータを持つプレイヤーが有利です。
今後、ポンタを持つリクルートや、ナナコを持つセブン&アイなどの参入も、、、あるかもしれません。
投資信託積立へのポイント付与、ポイント投資はお得なのか?
「投資商品を買ったらポイントが付く」
「他で貯めたポイントを投資に充てられる」
というのは近年生まれた新しいコンセプトです。
ポイントが現金と異なるのは、
・利用用途が限られる
・有効期限がある(ほとんどの場合)
という2点です。
世の中のポイントは全体の5割以上は失効して利用されていないというデータもあるので、ポイントを持て余すくらいなら投資に回そうとなる点で、いわゆるポイントシステムのデメリットを補うというメリットがあります。
買い付け額に1%のリターンが付き、
さらに消費に回るしかなかったポイントに複利効果を付与できる、
という風に聞くと、少し投資リテラシーがある人ならばメリットに感じるはずです。
日比谷タクミが手放しで推奨できない理由
投資×ポイントというコンセプトは日比谷タクミもとても前向きで、良いものだと思っています。
しかし、
この投信積立におけるポイント付与
ポイントを投資原資にすること
の本質を紐解くと、現在の状況を手放しで推奨することはできません。
いくつかの論点を整理します。
付与されるポイントの原資は誰が出しているのか?
まずそもそものポイントシステムの話をしましょう。
あなたが普段買い物をした後にもらうポイントですが、そのポイントの原資コストは誰が負担しているかご存じですか?
出張でビジネスホテルを選ぶと、よくクオカード付プランが出ていますよね?
あのクオカード付プランは通常の宿泊価格より高いです。クオカードが1000円分ついていると、通常のプランよりも宿泊料金が1000円以上、高くなっているはずです。
なぜならホテルはクオカードをサービスで出している訳ではないのです。
実費精算が必要なサラリーマンに自分たちのホテルを予約してもらうため、出張費上限の中でクオカード付プランを予約してもらっています。つまり、1000円のクオカードのコストは、買い手であるあなた(出張の場合は会社)が負担しています。
実はポイントにもこの構造は当てはまります。
企業は予めビジネス上で決めた利益の中からポイントの原資を負担しています。
例えば、じゃらんnetや楽天トラベルなどで出張や旅行に行くときにポイントの付与があると思いますが、あのポイント原資は企業側である旅館やホテルが負担しています。
つまり、企業がじゃらんや楽天に対して、サービス利用手数料に加えて、ポイント分をじゃらんや楽天トラベルに支払っており、それがそのままカスタマーであるあなたに付与されています。
しかし、ほとんどのホテルや旅館はそのポイント原資コスト分は基本宿泊料金に既に乗せていて、自分たちの利益が圧迫されないようにしています。
つまり、
自分がもらうポイントは、
自分が支払っている分から払い出されている
というのがポイント付与のあるサービスの大部分で行われているのです。
日本人はポイント信仰が強いですが、これは海外では一般的ではありません。
彼らはポイント付与よりも割引を望みます。後で付与され、原資コストの負担者が曖昧、かつ用途が限定的なポイントよりも、シンプルで、透明性が高く、すぐにメリットがある割引の方が合理的だと考えています。
ポイントについて触れている記事などで、
「ポイントが付いてお得!」
といった表現がありますが、
お得なのかどうかは、
「このサービスのポイント原資はどこから出ているのか?」
について、まず考えてから判断すべきと思います。
ポイントを使えば口座からお金が減らないから安心!?
ポイントというのは金銭同様に利用可能という意味で明確に現金同等物です。
企業会計上もそう扱われています。
ポイントというのは現金と一緒なのです。なので慎重にとり扱うべきだし、貰えるならもらった方が良い。ポイント投資も良いものだとは思う。ただ1つ、知っておいてほしいのは、自分が受け取るポイントの原資は企業が出しているのではなく、実は自分が支払っているということ。これもブログで書きます。
— 日比谷タクミ [投資家×サラリーマン×起業家] (@Hibiyatakumi) 2019年3月15日
また批判っぽくみたくなってしまいまい申し訳ないですが、
「ポイントで投資すれば、自分の口座の残高が減らないから安心!」
といった書き方をしているメディアがあります。
これは明らかにマネーリテラシーが十分でない読者をミスリーディングしてしまうので、ちょっと遺憾に思っています。
dポイント投資が310万ポイント山分けキャンペーン実施とのこと。確かに消費に回るポイントを投資に回せば複利効果は得られる。が、一部のメディアは「ポイント投資は損しても預金が減らないので安心」という語り口で、投資リテラシーの無い初心者をミスリードしてる。これは無いよね。#ポイント投資
— 日比谷タクミ [投資家×サラリーマン×起業家] (@Hibiyatakumi) 2019年3月14日
確かに自分が保有しているポイントをどうでもいい、と思っている人には口座残高が減らないことの方が重要かもしれません。
しかし、ポイントとして保有している以上、現金と同等であり、投資をしたらそれは現金を使っているの一緒、銀行口座からお金を出しているのと一緒です。
原資がなんであれ、一歩投資を始めたら、自分のお金はリスクに晒されます。安心でも何でもありません。
投信積立でポイントをもらう仕組みは本当にお得なのか?
まず、楽天証券の場合、これはお得と言えるでしょう。
上記で整理したポイントシステムの構造では、あなたがポイント原資コストの負担者となります。
しかし楽天はクレジットカードの発行元でもあり、少々状況が違います。おそらくクレジットカード事業のマーケティングコストでこのポイント原資分のコストを吸収し、カスタマーであるあなたにポイントを付与しています。
なので楽天カードを作る必要に迫られる代わりに、ポイント原資は楽天が負担してくれます。
ただ楽天ポイントがつくのは国内の投資信託の積立のみであり、外国株式や個別株などは対象外です。
楽天証券ではほとんどの国内投信を積立で購入可能ですが、選べる投資信託の信託報酬は海外ETFのインデックスファンドなどに比べ、全体的にまだ少し割高です。
今は投資初心者でも海外株式が気軽に買えるようになっています。
それほど致命的な差にはならないと思いますが、ポイントを買付額の1%で月上限500ポイントもらうことと、長期的に見たときの信託報酬の差分がどうなるのかは見極めた方がいいでしょう。
もし楽天証券で投信積立を行う場合も、ノーロード(買付手数料なし)の商品を選ぶのはもちろんですし、信託報酬が安いものを選ぶことをお勧めします。
では自分のポイントを使って投資をすることはお得なのか?
楽天ポイントの場合
楽天証券ユーザーで、投資に回せる楽天ポイントをたくさん保有している方にとって、基本的にこれはお得だと思います。
先に話した、
消費することしかできなかったポイントに複利効果を与える
ということが、ほぼそのままできると思います。
dポイント投資の場合
dポイント投資は選べるファンドがTHEOのロボアドバイザー投信になっています。
日比谷タクミは投資は戦略ありきだと考えているので、投資対象が固定化されてしまう商品を基本的に推奨はしていません。
しかも、THEOのロボアドバイザーは年率1%の信託報酬を取る、コストの高い投資商品です。
積立型のインデックス運用を行うに当たり、信託報酬が高いことは大きなネックになりますので、もし投資をする場合は、この
"1%という信託報酬手数料の意味"
をしっかり理解してからの方が良いでしょう。
THEOのアクティブファンドに近い形で全世界にバランス投資するバンガードの全世界インデックス:VTの信託報酬手数料は0.1%です。
年率1%の信託報酬がかかる場合と比べると、
THEO:
10万投資すると年1000円。1000万投資すると年10万円
VT :
10万投資すると年100円。1000万投資すると年1万円
という感じで、資産が積み上がれば上がるほど明確なコストの差になって現れます。
とはいえ、1%の手数料を払ってでも手間をかけたくない、というニーズもあると思います。
ここは投資戦略次第なので、コストを支払っても全自動でやってくれるロボアドバイザーが良いという方はdポイント投資を投資初めてみましょう。
まとめ
今後、SBI証券が参入してきて、このポイント×投資の市場は日本でさらに盛り上がっていくことと思います。
しかし、考える順番が大切です。
①ポイントシステムの本質を理解すること
②ちゃんと自分自身の投資戦略、投資方針を立てること
その上で、
③投信積立でポイントをもらったり、自分のポイントを投資にまわすことが最適なのであれば実行する
といった順番で決めないと、
得している気になっているだけで、実は全然得をしていない、
ということも全然起こりえます。
「ポイント投資、なんかお得そうだからやってみよ!」ではなく、まず、
どういう投資方針なのかを決めるのが先で、どんな商品に、どうやって投資するのかはその後です。
ポイントはポイントで別で消費にまわし、投資は銀行口座のお金でやったほうがいいということも十分あり得ます。
お金持ちになるための投資リテラシーを高めていきましょう。
以上、日比谷タクミでした。今回も最後までお読み頂きありがとうございましたm(_ _)m
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