つみたてNISAを使うべき人、そうでない人とは?
スポンサーリンク
こんにちは、日比谷タクミです。
2018年からつみたてNISAですが、最近は注目をされている方も多いのではないでしょうか?一方でつみたてNISAと一般NISAどちらを使うべきか無やんでいる、という方もいらっしゃると思います。
今回はそんな方向けに、
つみたてNISAを使うべき人、そうでない人
というテーマで書いていきます。
つみたてNISAの現状
全然伸びない口座数
つみたてNISAですが、金融庁が発表している2019年2月末時点でのNISA口座の利用状況調査によると、
一般NISA 1,143 万口座
つみたてNISA 104万口座
※1万以下は四捨五入
となっています。
開設1年強で100万口座ということで一見利用者が増えているように見えますが、一般NISAが2014年の開始で4年強で1100万口座を超えていることを考慮すると、つみたてNISAは非常にスローペースの普及であることが分かります。
なぜ、このような事態になっているのでしょうか?
既に投資をしていた人は一般NISA口座を使っている
まず、2018年以前に投資を始められている方は既にNISA枠を使っていると思いますし、実際に一般NISAからつみたてNISAに口座をスイッチする方は多くないと思います。
また、投資経験がある方にとっては、つみたてNISAは相対的に見てスイッチするほど魅力的である訳ではありません。
現状でいうと、つみたてNISAの口座を持つほとんどの利用者が、2018年以降に投資を始めた投資経験の浅い方と考えても良いでしょう。
手数料を取りたい金融機関にとって"美味しくない"仕組み
つみたてNISAは、金融商品を販売してその手数料で稼いできた対面型証券会社や銀行にとってはメリットが少ない仕組みです。
販売する金融機関にとって、投資信託の購入時手数料も、信託報酬に含まれる代行手数料がメインの収入源となります。そのため、投資リテラシーの低い個人に売買手数料や信託報酬が高額なファンドを、売りつけて収益を上げる銀行や投信販売会社の営業スタイルが、たびたび槍玉に挙げられていました。
しかし、つみたてNISAはそういった金融機関にとって取り扱うメリットがとても小さい仕組みとなっています。販売手数料も信託報酬も取れないならば、これらの金融機関は真剣に販売しません。特に、個人と最も多くの接点を持つ銀行が積極的に販売しないのですから、利用者が増えるはずもありません。
これらが、現状つみたてNISAの口座数が伸び悩んでいる原因の一つです。
一方で、SBI証券、楽天証券、マネックス証券などのインターネット証券は元々低コストでのサービス提供を前提としています。収益以前に、口座数やLTVがKPIになっているため、つみたてNISAをきっかけとして長期の小口投資家を増やしていくことは、事業の基本思想に合致するため、積極的にプロモーションに取り組んでいます。
※LTV : ライフタイムバリュー。顧客1人が生涯にわたりいくら購入するかを図る指標
つみたてNISAは投資初心者に良心的な制度
※出典:金融庁HPより
投資対象
投資対象となるのは、金融庁指定の投資信託です。
※2019年5月7日現在のつみたてNISA対象
・指定インデックス投資信託:142本
・指定インデックス投資信託以外の投資信託(アクティブ運用投資信託等):18本
・上場株式投資信託(ETF):3本
投資対象商品にある通り、選定基準は以下の通りです。
・長期の積立・分散投資に適したインデックスファンド中心
リスクの大きな個別銘柄を対象とせず、株式や債券などをマーケット単位で購入する
・毎月分配でないもの
タコ足配当(運用原資からの分配)リスクが低く、複利効果を期待しやすいファンド
・ノーロード(買付手数料なし)
つみたて時の買付け手数料がなく、長期つみたての効率が良い
・信託報酬が低いもの
運用機関に支払う委託手数料が低く、投資家にとって良心的
ご覧のように、かなり指定銘柄の中に入るための縛りが強くなっています。仕組み自体が投資家を保護する思想が強く、投資対象の選定に自信が持てない投資初心者には安心して使える制度といえます。
どんな商品が人気か?
※2019年4月SBI証券 積立設定金額ランキング
ニッセイの外国株式インデックス、eMaxis slim、楽天VTIなどはマーケットをよく知る長期投資家の目線から見ても優良な商品です。基本的には米国などの成長蓋然性が高い先進国を投資先とした、低コストの株式インデックスファンドが人気です。
運用の経験が浅く、自分なりのこだわりが無い方は基本的につみたてNISAの運用残高や買付金額ランキングを確認頂き、それをフォローする形で資産運用を初めてみれば良いのではないでしょうか?
銘柄を頻繁に入れ替えながら、高い運用パフォーマンスを追求するアクティブファンドは、優秀なファンドマネージャーを採用したり、銘柄を入れ替えたりすることで運用コストが高くなります。
結果的に8割のアクティブファンドはインデックスファンドに勝てないという結果も出てますので、マーケット全体に投資するインデックスファンドを選択するのが良いと考えています。
つみたてNISAを使うべき人とは?
つみたてNISAは比較的リスクが低く、信頼できる投資の仕組みであることを述べました。しかし、つみたてNISAも万能ではありませんし、人によって向き不向きがあります。
つみたてNISAを使うべき人は以下のような方だと考えます。
・年間投資可能額が40万円に満たない人
・投資目的を子供の教育資金や老後資金など長い時間軸で考えている人
・投資をしたいが、あまり自分で投資の勉強をすることに自信がない人
・配当、分配金を目的とした投資をしない前提の人
長期継続投資が前提
つみたてNISAは20年の期間にわたる長期積み立て投資を行うことで複利効果の増幅、元本割れリスクの低減、売却益非課税を活することで資産を膨らましていく仕組みです。
そのため、一度始めたら期間終了まで売却をせず、継続的に追加投資することが前提になると考えるべきでしょう。まずは現実的に毎年40万をMaxとして毎月つみたてを行うことが出来るかがポイントです。
配当・分配金を期待しない
配当は期待できず、基本的にはファンドの売却益に期待することになります。もちろん積み立てて行っても将来利益が確実に出る訳ではなく、売却益が得られなければ非課税枠の恩恵を受けられません。
配当をもらうことで確実に非課税枠からの恩恵を得たいと考えている方は、一般NISAを選択すべきと考えます。
非課税枠を超えて投資できるなら一般NISAも
月3万強、毎年40万円以上投資をすることが出来るなら、5年間で600万の投資資産に対する非課税枠が使える一般NISAの方が有利かも知れません。
非課税枠を利用して短期で資産形成をできますし、短期で手元資金を増やせればその後の資産形成スピードが上がります。
非課税投資枠を超えて投資できる方、ゆっくり20年待てない方などは一般NISAを使ったり、iDeCoと組み合わせるなど、工夫が必要になります。
自分で勉強できるかどうか
投資銘柄選定などには知識や経験が必要になってきます。自身で継続的に学習をする意欲があれば別ですが、もし時間が割けないということであれば一般NISAは避け、つみたてNISAを使うと良いでしょう。
まとめ
日比谷タクミはNISA枠は高配当株やETFに使うのが望ましいと考えています。しかし、これは個人それぞれの考え方、資産状況、投資戦略によりけりです。
つみたてNISAは自身の工夫の余地こそ小さいものの、非常に信頼できる投資の仕組みであり、きちんと投資家保護が考えられています。自身の運用に自信がない、勉強する時間が取れないといった方などはつみたてNISAを活用する、で良いのではないかと思います。
政府は将来の財政維持に既に白旗を上げています。年金支給額は減るし、現役世代の社会保障負担は増えていくことは確定してます。
政府から私たちには、
「NISAやiDeCoなど優遇策を使って、自分で将来の老後資金を作ってくれ。政府はあなた達の将来に責任持てないよ」
というメッセージを出しているということだと思います。
これを私たち個人がどう受け止めて、将来に備えるかが大切だと思います。
以上、今回も最後までお読み頂きありがとうございましたm(_ _)m
▼関連記事