【元駐在員が本音で語る】海外駐在の4つのメリットと4つのデメリット
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こんにちは、日比谷タクミです。
今日はみんなが気になる、でも知らない、海外駐在について話をしたいと思います。
この記事はこんな人向け
・海外駐在に興味があるけど、自分の周囲には経験した人がいない
・実際にどんな責任、役割を任させるのか知りたい
・海外駐在の待遇、報酬面のベネフィットを具体的に知りたい
・得られるものは何で、失うものが何かを知りたい
年々増える若手~ミドルへの海外赴任チャンス
最近は海外志向の方が増えたのと、新興国におけるビジネスポテンシャルに注目する企業が増えてきました。そのため、従来多かった米国やヨーロッパなどに加え、中国や東南アジアなどの地域への海外赴任のチャンスが広がってきました。
そんな日比谷タクミも、中華圏を中心にアジアの複数の国で計6年以上仕事をしていました。その後日本に戻ってきて、今は国内事業を担当していますが、また別の国でチャンスがあればチャレンジしてみたい気持ちはあります。
もちろん単身での赴任と、家族帯同での赴任では状況を大きく異なりますし、どの国に赴任するのかでも、メリットとデメリットは大きく違います。
また、仕事内容でも海外駐在の意味合いは大きく変わります。どんなポジションで、何の仕事をするかによって、海外駐在がその後のキャリアにレバレッジをもたらすか、もたらさないかも決まってきます。
今回は、
海外駐在のメリット、デメリット
について、実際に海外駐在の現場で死線をくぐってきた日比谷タクミの経験を交えて解説していきます。
海外赴任の4つのメリット
①高いポジションで仕事ができるケースが多い
海外駐在の場合、日本で働いていた時のポジションよりも、高いポジションで仕事を任されるケースが多いです。日比谷タクミも日本においてはいわゆる中間管理職レベルでしたが、現地では事業のトップマネジメントとして働かせてもらいました。
一番海外駐在を出来て良かったと思えるのは、
事業の意思決定を行う経験ができたこと
です。
経営には結論を出すのが難しい問題がたくさんあります。
その問題は、事業戦略、リソースの投資判断、組織開発、採用、財務など広範囲にわたります。どの意思決定も会社の将来の成長を決める要素になるため、考え抜くための胆力、結論をサポートする合理性、そして自身の判断へのコミットメントなどが求められます。
本社から求められる投資収益率をもとに、
・自分で事業計画を立てて財務諸表を管理する
・どうやってマーケットの中で勝ち残るのかの戦略を立てて遂行していく
・理念を語り、組織への想いを語り、企業文化を育てていく
・それを異なる文化的背景を持つ外国人と、外国語で行う
そんな事業経営の経験が出来たことはとても大きな経験でした。
②異文化適応力がつく
やはり人種が違うと物事の考え方、優先順位、価値観の違いなどが明確にあります。そもそも宗教が違うと仕事への前提も異なったりします。
その異文化の中で、
・現地従業員にどうやってモチベーション高く動いてもらうのか?
・現地の購買者に向けて、どうやって製品のマーケティングを行うか?
などの頭を働かせて、自身の中での常識だったり、考え方をアジャストしていかなければいけないことが沢山ありました。元々、環境適応力は高い方だと思っていましたが、この海外での事業経験を通じてさらに磨かれたと思います。
また、海外の人と仕事をすると一気に世界を身近に感じるようになりました。
今までに行ったことがない国に突然行っても、普通にサバイブできると思えるようになりましたし、どの国の人とも普通に仕事ができるし、成果も出せる、思えるようになりました。
これは日比谷タクミが、現地で実際に仕事をする中で理解したことですが、
「人間の本質やビジネスの本質というのは、宗教、文化、言語などが変われど、全く一緒である」
だと主マス。これに気づけたのが大きかったと思います。
③世代を超えた友人ができる
どの国にも日本人コミュニティというものはあるのですが、多くの方は同世代の友人と付き合うケースが多いと思います。
日比谷タクミは好んで、自分よりも年齢が一回り、二回り以上、場合によっては自分の父親世代の駐在員の方々と多く付き合っていました。
・ロシアに長く駐在して、極寒の地でウォッカを毎晩飲まされながら機械を売っていたメーカーの管理職
・アメリカ、シンガポールなどでも駐在経験があり、極めて頭脳明晰なエリート銀行員
・長くアジアに駐在して現地政府と強いコネクションがあって、行政キーマンの裏事情をよく知る商社マン
など、自分の知らない世界を知ること、彼らが持っている豊かな経験に触れる機会があったことはとても貴重で、深みのある先輩方との会話には、多くの学びがありました。
④可処分所得が増える
よく知られた話ですが、駐在手当、住居費負担など様々なベネフィットがあり、
海外駐在の期間中は可処分所得が増えます。
日比谷タクミがいた中国や東南アジアなどの地域は一般的には危険地扱いとしている企業が多いので、駐在手当と一緒に、危険地手当というのも付いていました(実際に国によっては日本人が多く殺される、犯罪に巻き込まれるというのはよくあるので、それを考えると当たり前といえば当たり前です)。
私は現地で知り合って、よく飲んだりゴルフに行ったりした同世代の総合商社の海外駐在員の友人が複数いましたが、そういう属性の方々は30歳前後に海外駐在になると年収2000万前後の水準になります。
日比谷タクミの所属する会社は、総合商社ほどは駐在員に手厚くはありませんでしたが、間違いなく駐在期間において可処分所得は増えて、貯蓄は一気に増えました。
例えばシンガポールやヨーロッパなどの物価の高い地域に行くとまた話は違うのですが、基本的に日系大企業であれば可処分所得は増えるはずです。
またベンチャー系の企業の駐在員となると追加手当などが出なく、総支給は日本で働くのと一緒というケースはありますが、住居費は少なくとも会社が出すため、手残りは間違いなく増えると思います。
海外赴任の4つのデメリット
①日本の話題に全くついていけない
しばらく海外にいると日本国内の話題に全くついていけなくなります。現地の情報の方が仕事においてのバリューが高いので、そちらの情報収集が優先となり、日本の政治、経済だけでなく、芸能などの話題などもかなり弱くなります。
日本人相手に仕事をする業種での海外駐在であればそうはならないかもしれません。例えば人材紹介会社の海外駐在員は、取引先のほとんどが日系企業になるため、毎日仕事で日本人と話し、夜は毎晩接待で日本人と飲みに行きます。
必然的に日本の情報は入ってきやすいでしょうが、日比谷タクミの場合は現地人相手のビジネスで、ほぼ現地で日本についての話はしませんでしたので、かなり日本の情報に弱くなりました。
②日本でのキャリアがリセットされる
仮に海外でどれだけ良質な仕事をしていたり、どれだけ良質な経験を得ていても、国内事業に帰ってくると、
基本的には全てリセットされてしまう
というのが事実です。
そもそも海外進出をしている企業では、海外事業を運営している部門と、国内事業を運営している部門の間で、全くといっていいほど接点が無いケースが多いです。
国内事業の人は、海外での仕事に求められる温度感、難易度、そしてそこで出した実績などを知らない人がほとんどです。
一般的に日本側の人間からすると、
「海外に行ってた怪しいやつが異動してきた」
「アジアでの仕事なんかレベル低いんじゃないの?」
という感じの理解に、どうしてもなってしまいます。それは、知らないからです。
日比谷タクミも日本に帰任する時に国内事業の担当として戻ることになりましたが、帰任して全然今まで接点がなかった事業部に配属されたこともあり、最初は全然信用されませんでした(笑)。
長期間海外に行ってしまうと社内の知り合いもほぼ居なくなっていることもあると思うので、それも影響しますが、大なり小なり1から社内評価を確立しないといけなくなります。
しかし、実際にはあまり心配いらないと思います。
日本でいざ仕事を始めてみると、海外での意思決定や異文化の中でのマネジメントを行っていた経験が明確に他の人との差別化要素になります。
大組織で働いているミドル層だと、どうしても機能部門単位での経験しか持てず、事業全体を俯瞰して物事を考える経験、自分で意思決定をする経験を持つことができません。
そのため、
・事業視点で問題を考える力
・必要な情報の集め方、意思決定ロジックを固めるための頭の使い方
・意思決定が自分の仕事であるという認識
がなかなか持てないのが現状です。
ちゃんと海外で良いビジネス経験ができている人は、その経験を武器に早晩キャッチアップし、きちんとした評価を確立できると思います。
③友人と疎遠になる、話が合わなくなる
日本国内の友人とはしばらく会わないうちにライフステージが変わり、自然と疎遠になっていきます。
いわゆる旧友は別ですが、残念なことにやはり6年も合わないと社会人になってからの深いとも言えない関係性の人とは、記憶とともに関係性も薄くなっていきます。これ、かなり寂しいものです・・・。
また、友人が海外で働いていた自分からすると考えられないようなサラリーマン体質になっていたりします。
④投資が難しい
非居住者は証券投資が出来ない
日比谷タクミにとってはこれが一番手痛いデメリットでした。
海外駐在になると日本での住民票を抜く必要があり、日本における非居住者扱いになります。現状、国内の証券会社は二国間での課税ルールが整理できないことから、非居住者の証券取引を制限しています。
SBI証券、楽天などは口座維持は可能で売買が禁止
というのが基本スタンスで、特定口座、NISA口座は日本の非居住者になる時点で閉鎖が求められています。
非居住者の定義 ※SBI証券より
- 外国にある事務所(本邦法人の海外支店等及び現地法人並びに国際機関を含む)に勤務する目的で出国し外国に滞在する者。
- 2年以上外国に滞在する目的で出国し外国に滞在する者。
- 本邦出国後外国に2年以上滞在するに至った者。
- 1年以上にわたり日本以外に居住する者。
- 期間の定めのない海外転勤、海外留学。
- 上記に掲げる者で、事務連絡、休暇等のため一時帰国し、その滞在期間が6ヶ月未満の者。(但し、上記に関わらず、本邦の在外 公館に勤務する目的で出国し、外国に滞在する方は、「居住者」として扱われます)
また、必ずカスタマーサービスに連絡をしましょう。
海外転勤等の理由により出国(非居住)される方への対応について ※SBI証券より
当社に証券総合口座をお持ちのお客さまが、海外勤務等の理由により一時的に出国「(本邦)非居住者」 される場合、原則「帰国されるまでの間」も当社の証券総合口座(お客さま名義)にて有価証券等をお預けいただくことができます。
ただし、当社では日本国外で金融商品取引業務を行う許可(免許)などを海外の監督官庁等から得ておらず、居住国の法令諸規則に則った対応を行うことはできません。
具体的なお手続き方法につきましては、「当社カスタマーサービスセンター」または「お客さまのお取扱い店」までお問い合わせください。
日比谷タクミはリーマンショック後に一度リバウンド狙いで個別株を仕込み、ちょっとだけ利益を得ました。しかし、その後は東日本大震災などが発生したのでマーケットが落ち着くまで静観していたこと、そして当時は資格試験を必死で勉強していたこともあって、しばらく証券口座から資金を抜いていました。
その後、海外駐在となったことで投資を再開しようと思っていたのですが、「非居住者は売買ができない」ということを、実際に非居住者になってから知って絶望しました。本当にOMGです。
米国の証券会社や、現地の証券会社も使うことも考えましたが、赴任先が新興国だと日本からの送金や為替対応の難易度が非常に高く、また丁度マイナンバー制度が運用されたころだったので、あまりにも面倒だったのと、出口が見えなそうだったので挫折しました。
開けられなかった仮想通貨口座
2017年末にビットコインに代表される仮想通貨バブルが来る8カ月前、2017年3月に「ビットコインの価値が将来1億円になる」
という記事を目にしました。
それでは早速乗ってみようと、日本の仮想通貨取引所3社に口座開設依頼を出しました。
当時のビットコイン価格は30万円でした。
現住所確認ができる身分証明書が口座開設の条件でした。取引所各社に本人確認資料となる居住国の住所を証明する就労ビザを送りましたが、
・日本の身分証明書でないと対応できない
・現地で取得ができない追加書類が必要
・郵送が数カ月届かない
とゴタゴタやっているうちに、7月になり、8月になり、9月になり、ビットコイン価格は80万円になってしまいました。
ビット〇ライヤー社や、コイン〇ェック社、ザ〇フ社などとずっとやり取りをしていましたが、初めての口座開設が出来たのが、2017年10月。残り2社は結局空きませんでした・・・。
それでも何とかバブルに乗り損ねまいと、そこからコインチェック事件が起こるまでのバブルには乗ることが出来ました。
元々バブルである認識があったので短期で売り抜けて確かに一定の利益は出たのですが、非居住者であったが故の、かなり痛い乗り損ねであったことは間違い有りません
すぐに口座が空いていれば、投資資金は5倍にも10倍にもなっていたかも知れません。
2019年現在、BitflyerやZaifなどの日本の仮想通貨取引所各社は、非居住者は口座開設が出来なくなっており、外資系の数社のみが受け入れを行っています。
まとめ
紹介した通り、海外駐在には可処分所得が増えるというメリットがあります。
しかし、日本に戻って来てからというものの
・投資を再開して配当収入が入ってくるようになった
・生活費が下がった(日本のスーパー、コンビニ、公共交通機関はすごい)
・旅行に行ったり、飲みに行ったりが少なくなった
といった生活上の変化もあり、
なぜか海外駐在中に様々な手当をもらっていた頃よりも、年間の収支が圧倒的に高い、という不思議な状況になっています。。。
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なので、金銭的には確かにメリットがありますが、実際に現地では人付き合いもあって飲みに行ったり旅行に行ったりも沢山していました。収入も増える分、支出も増えるかも知れません。
それよりも、海外駐在での経験は
キャリア、そして人生における経験
という意味で、もっともっと大きな価値があると思います。
今回は日比谷タクミの体験談に基づくお話が多く含まれており、誰にでも当てはまることではないです。そして、海外駐在のチャンスはそんなに簡単に得られるものでもありません。実力だけでなく運にも左右されるので、なかなか簡単ではないですが、日比谷タクミはある意味ラッキーだったと思います。
ですが、機会があれば是非チャレンジしてもらいたいなと思ってます。
ただ1つだけアドバイスを。
「駐在発令が出たらすぐに資産運用まわりの対応をしておこう」
この記事が何かのご参考になれば幸いです。
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以上、日比谷タクミでした。今回も最後までお読み頂きありがとうございましたm(_ _)m
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